対北政策、懸案により柔軟な対応も必要


韓国紙セゲイルボを読む

 李明博政府では対北朝鮮政策が頓挫して一歩も進まず、進展がなかったが、昨今の状況はあまりにも当時と似ている。北朝鮮が朴槿恵政府の「韓半島信頼プロセス」を「敵対的で対決的」と非難していることも、前政府の時と全く同じだ。

 北朝鮮は朴槿恵政府スタート10日目(2月12日)に第3回核実験を敢行した。4月には開城工業団地から北朝鮮労働者を撤収させて、南北関係を超緊張局面に押しやった。

 その一方で、開城工団再稼働に合意し、離散家族対面行事も再開すると言いだしたものの、9月に「今の雰囲気は対話をするほどの状況でない」として、対面を「無期限延期する」と発表し、南北関係は過去へ回帰した。

 これをみると、北朝鮮は少なくとも表面では南北関係を進展させる考えがないように思われる。「核・経済並進路線」で金正恩体制を強固にしようとすることだけに血眼になっているようだ。

 「韓半島信頼プロセス」は相互信頼を土台に南北関係の未来を拓こうというものだ。正確に言えば、北朝鮮の信頼を前提とした対北朝鮮政策である。北朝鮮の変化が焦点になっているという点で、李前大統領の「非核・開放3000」と別段差がない。

 問題は北が動きださなければ、効果を発揮できない点にある。韓国政府当局者は動きだせば陣痛があっても中長期的に見れば成果が現れると主張する。新政府の信条である「原則と基準」を守って行こうとするのもこうした理由からだ。しかし、少なくとも現在までは北の対南戦略に変化の兆しはない。

 李明博政府の対北政策関係者は、「北が変わらないことに対する対策も講じなければならない」と注文する。「原則を守るか、懸案によって柔軟性を発揮するか」-。今がその答えを探す適正な時期だ。

(オク・ヨンデ論説委員、10月8日付)