大統領再任制と韓国の改憲論


韓国紙セゲイルボ

米政治に見る「2期目の呪い」

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23日、ニューヨークで、アラブ5カ国の代表団と会談するオバマ米大統領(右から2人目)(AFP=時事)

 韓国与党で改憲世論作りが始まった。セヌリ党の金台鎬(キムデホ)最高委員は最近「5年大統領単任制は寿命を終えた」と言いだした。

 李喆雨(イチョルウ)セヌリ党議員も、「異常な政治に対する国民の忍耐力が限界点に達した今が改憲を真剣に考える適正な時期」として、大統領4年再任制改憲を主張した。

 セヌリ党の金武星(キムムソン)代表も報道機関のインタビューに、「5年1期制は有能な大統領にはとても短く、無能な大統領にはとても長い」と加勢した。

 改憲論は韓国政界で未完の懸案だ。しかし、韓国政界が検討している大統領再任制のモデル国家である米国はこの制度によって疲弊している。

 歴史的に見ると、大統領選挙で現職大統領をはねのけるのは容易ではない。このために2期目の終了を控えて行われる大統領選挙が相対的に激しくなる。

 第2次世界大戦以後、再選に成功した米大統領は2期目に国民的支持度の急落現象に苦しめられた。オバマ大統領は1期目に平均49%の支持率を記録したが、最近ではやっと40%内外だ。任期があと2年余りだが、既にレームダック化の危機論が広まっている。

 もう米国大統領の再任制体制では「2期目の呪い」は避けられないという診断が出てきている。サマーズ元財務長官は再任制を廃棄して「6年単任制」に変えようと提案するに至った。

 しかし、米政治の現実を見れば、果たして大統領再任制が望ましい制度なのか疑問に感じる。韓国政治の不安要因が大統領単任制にあるという主張には同意しにくい。大統領再任制が政治安定を担保するなら、その原動力は現職大統領の再選の可能性のためであろう。

 また、大統領の力が政治安定の必要条件ならば、1期制大統領の執権序盤には生産的な政治の花を咲かせるのが常だ。

 それなら朴槿恵(パククネ)政府の任期序盤に極大化されている政治の混乱と国政マヒ現象をどのように説明できるだろうか。改憲など制度改革は国民や民生と遊離した「彼らだけの試合」にすぎない。

 制度よりは運営がより重要であり、運営に責任を負う政治家が何より重要だ。もっとも、その政治指導者を国民が選ぶという事実から慰安を見いだすには韓国政治の現実はとても暗鬱なのだが。

(鞠箕然〈クッキヨン〉ワシントン特派員、9月21日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。