中国で有名な朝鮮族音楽家


韓国紙セゲイルボ

韓民族文化芸術の外縁拡大に

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中国朝鮮族音楽家、鄭律成の若き日。中国軍歌の父とも称される

 7日、北京で鄭律成(チョンユルソン)(1914~76年)誕生100周年記念音楽会が開かれた。鄭律成、韓国内では聞き慣れないが、中国では有名な音楽家だ。全羅南道光州生まれの朝鮮族で、1939年中国共産党入党、50年に中国国籍を取得した共産主義者である。代表作品は「延安頌」「中国軍行進曲」「朝鮮人民軍行進曲」など。

 光州広域市が彼の人生にスポットライトを当てるのは当然といえば当然だ。文化・観光資源開発を通じて中国市場を切り開こうとする同市は、「親中国」プロジェクトの一環で、中国文化院光州分院誘致や鄭律成国際音楽祭の拡大にも意欲を見せている。

 だが、鄭律成を見る韓国内の視線は複雑だ。彼が韓国動乱当時、中国人民志援軍として北朝鮮軍と共に韓国軍と戦ったためだ。とはいえ、統一準備委員会が稼働し始めた今、鄭律成を再照明する必要性は十分だと同市は考えている。

 中国が中華民族復興の旗印を掲げて、ブルース・リーやテレサ・テンを持ち上げたのが良い例だ。

 ブルース・リーは映画「燃えよドラゴン」等を通して、中国武術の優秀性を全世界に伝播(でんぱ)した人物として崇められている。41周忌の今年は強い中国人のシンボルになった。もっとも73年に死去するまで、彼の生活地は米国と返還前の香港だったが。

 テレサ・テンは1970~90年代、中華圏、日本で大人気を博した台湾女性歌手だ。09年中国内で「最も影響力ある文化系人物」に選ばれた彼女は皮肉にも生前には“汚染された資本主義文化”の象徴だった。天安門民主化運動支援コンサートに参加するほど反中国情緒が強かった。

 共産党の敵である蒋介石国民党総統まで再評価する中国である。国力の伸びに合わせて、中国文化芸術の外縁は絶えず拡大している。経済・軍事力の絶対優位を土台にした自信の裏打ちがあるためだろう。

 悲しいかな統一韓国を準備するわれわれは中台関係とは違い、対北絶対優位にあることができない。かと言って、鄭律成のような人物を放置しておいていいのかは、考えるべきことだ。鄭律成が朝鮮族の英雄であり、朝鮮族は中国人だという事実が固まっているというのが、彼をよみがえらせなければならない理由だ。

 中国内55の少数民族を支配する論理は統一的多民族国家論だ。この論理は過去と現在、中国領土にあったり存在したすべての民族は中国人であり、彼らの歴史もまた中国史という主張だ。

 幸いに韓中関係が良いからなのか、鄭律成は韓中交流で肯定的結果を出している。中国が中華民族文化芸術の外縁を広げたように、われわれも韓民族文化芸術をより一層広げなければならない時だ。その出発点は共産主義者・鄭律成でなく、芸術家の彼だ。

(シン・ドンジュ北京特派員、8月11日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。