米中覇権競争と韓国の生存戦略


韓国紙セゲイルボ

「覇権秩序的観点」から構築を

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韓国メディア代表団の表敬を受ける安倍晋三首相(左端)
=17日午後、首相官邸

 旧韓末以後、韓半島をめぐって展開した覇権競争期に、しっかりした国家戦略を持って能動的に対処できなかったことで、韓民族は苛酷な代価を払った。日清、日露間の地域的覇権競争の渦中で、従属の位置に転落し、ついに亡国の痛みを体験した。

 解放直後は、米ソ間に展開した全世界的次元の覇権競争である冷戦で、韓民族は分断と韓国動乱という前代未聞の惨禍も体験している。

 動乱直後、韓国は韓米同盟を締結し、幸いにも米国中心の覇権秩序の下で経済的繁栄と政治的民主化を実現できた。一方、ソ連中心の共産主義的覇権秩序に編入された北朝鮮はソ連東欧圏の崩壊以後、改革と開放を拒否して、核開発に乗り出し「失敗国家」の道を歩いている。

 こうした歴史的経験は米中覇権競争の渦中で、韓国は21世紀、米国中心の覇権秩序の一員として、自ら積極的に寄与しつつ、その秩序で生じる果実を共有していくことが、われわれの国益に符合するということを見せている。

 こうした現実を直視しつつ、韓中自由貿易協定(FTA)を一日も早く締結し、韓中経済協力関係を持続的に深化させていかなければならないが、同時に、韓国の安保は韓米同盟をより一層強固にしていかなければならない。

 われわれは覇権競争の渦中で「クジラの争いのとばっちりを受けるエビ」の辛(つら)い歴史を持っている。そのために「スッポンに驚いた者、釜の蓋に驚く」という諺(ことわざ)のように、国民は「覇権」という言葉を聞いただけで、驚いたりアレルギー反応を起こしたりする。

 しかし、この60年間、米国覇権秩序の一員として、韓米同盟体制下で繁栄を謳歌(おうか)した韓国の経験をみれば、覇権秩序の性格も覇権国家の性格によって変わることが分かる。韓国自らその秩序下で、どのように国益の観点で能動的に対処していくかということが重要なのだ。

 21世紀韓国の国家戦略は韓米関係、韓中関係のような両者関係を重視しながらも、常に「覇権秩序的観点」という大きな戦略的絵図として描かれなければならない。

 このように見れば、現在塞がっている韓日関係も、韓国と日本がともに米国中心の覇権秩序の一員であり、この秩序を互いにどう協力し維持しながら、各自の国益を極大化していくかという点に焦点を合わせて解決していかなければならないだろう。

 安倍政府は日本の真の過去の歴史反省がこのような覇権秩序維持の次元で重要だという点を忘れてはならない。同じように朴槿恵政府も、この点を認識して安保と歴史問題を分離対応し、韓日関係を正常軌道に乗せる案を一日も早く出さなければならない。

(金暎浩 〈キムヨンホ〉 誠心女子大学教授国際政治学、7月18日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。