世界日報 Web版

核強化で北朝鮮に未来は開けない


 北朝鮮の国会に当たる最高人民会議が平壌で開かれた。金正恩第1書記を国防委員会第1委員長に再選し、朴奉珠首相も再任。正恩時代になって急浮上した側近を国防委員に引き上げるなど体制を一段と強化した。だが経済再建に専念せず、核とミサイル戦力の強化を同時に進めようとする限り、北朝鮮に未来はないことを認識すべきだ。

「並進路線」に変化なし

 北朝鮮の最大の課題の一つは、正恩氏の叔父(故金正日総書記の妹の夫)で事実上のナンバー2だった張成沢前国防委副委員長を昨年12月に粛清した後の政治的安定をいかに確保するかであった。結局取られた措置は、側近の登用による体制固めであった。

 具体的には、正恩氏の最側近で国防委員だった崔竜海軍総政治局長が国防委副委員長に昇格。外相は朴宜春氏から、正恩氏が留学した当時のスイス大使で、正日氏の金庫番と言われた李秀勇氏に代わった。正恩時代になって急浮上した張正男人民武力相も国防委員に選ばれた。

 一方、対外的な国家元首の役割を務める最高人民会議常任委員長は、高齢のため退任情報があった金永南氏が留任。国防委副委員長の李勇武氏、呉克烈氏ら超高齢幹部も続投が決まるなど、正日時代からの“敬老人事”は踏襲されている。

 注目されるのは、経済改革派とされる朴首相が再任されたことだ。朴氏は2013年の最高人民会議で就任したばかりだが、張氏に近いため更迭の可能性が指摘されていた。留任したのは、張氏粛清に批判的な中国などを意識して、経済政策に変化がないことをアピールする狙いだろう。

 北朝鮮はかねてから経済建設と核開発の「並進路線」を掲げていた。経済再建重視の一方、「核抑止力」の強化を強調し、最近も新たな形態の核実験を示唆した。

 昨年4月には、原子力工業省を設置。電力不足を解決するとともに、核兵器の小型化を進める狙いがあるとみていい。朴氏留任で並進路線に変化がないことが明らかになった。

 だが、核やミサイルを増強しても国民の腹は満たされない。核開発は正日氏の「遺訓」であり、正恩氏は政権の正統性を強調するためにも核実験を継続していかねばならないと考えていることが問題だ。

 国連人権理事会は北朝鮮で今も続く深刻な人権侵害行為の即時停止を求め、安保理に対し指導者の責任追及や制裁措置の検討を要請する非難決議を採択した。このように国際社会で孤立を深める中、核開発と経済再建の「二兎」を追う政策が無理であることを北朝鮮は認識すべきである。

 北朝鮮は複数の政治犯収容所で施設を増設し、規模を拡張させていると伝えられる。張氏の粛清に絡み幹部多数の処罰を予定しているためとみられており、事実であれば国連人権理の決議に逆行する動きだ。

孤立を深めるばかりだ

 最大の支援国である中国の北朝鮮への視線も冷たくなっている。核とミサイル戦力の強化は孤立を一層深めることを知るべきだ。

(4月15日付社説)