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仏黄色いベスト運動、過激化に手を焼く警察


女性デモが暴力批判も

 フランスの黄色いベスト運動の参加者は減少傾向にあるものの、警官への直接暴力や商店への破壊行為など暴徒化に警察は苦慮している。昨年11月17日から数えて8週目となる5日の週末デモは、パリの政府庁舎入口をデモ隊がフォークリフトで破壊して侵入したため、グリボー政府報道官が避難する事態になった。

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5日、パリのシャンゼリゼ通りで、黄色いベストを着てデモに参加する人々(AFP時事)

 パリ以外でも同日、マルセイユ、ボルドー、トゥールーズ、レンヌなどで週末デモが行われ、全国で約5万人が参加した。運動は過激化を増し、暴徒化した参加者による車への放火や警官隊と衝突は激しさを増している。運動を精鋭化しており、黒づくめでヘルメットと覆面をした暴力的アナーキスト集団やギャング集団も紛れ込み、当局は対策に追われている。

 一方、パリを含むトゥールーズなど複数の都市で6日、数百人単位の女性が黄色いベストを着用し、平和的に抗議するデモ行進を行った。8週間にわたる抗議運動で中心的に動いてきた女性たちは「暴力に走るのは男性だ」として、「抗議の声は上げるが、あくまで非暴力」という原点に立ち返ることを示すデモ行進を行った。彼女らは女性や母子家庭の貧困、男女給料格差の是正、妊娠出産で職を失うなど、弱者が社会の隅に追いやられていることに抗議し、デモ行進を行った。背景には最低賃金やパートで働く女性が増加しており、会社側も積極的な女性雇用を行っていない現状があることが指摘されている。

 警察当局の一部には、デモ参加者の中にいる危険人物リストを作成し、彼らのデモ現場への侵入を事前に阻止する対策を提案中だ。同対策はサッカーのフーリガン対策で、試合会場への入場を禁止された危険人物リストが存在し、試合前に違反者を排除する効果を実際生んでいるが、反政府運動への適応は言論の自由を脅かすと批判されている。

 5日のデモでは、パリで約1000人の警官が動員されたが、昨年のピーク時の8分の1程度の規模だった。現状では現場一帯を封鎖し、デモ参加者の持ち物および身体検査で武器などの危険物を所持していた場合のみ、現場への入場を阻止する措置が取られている。

 最新の世論調査では、国民の55%が黄色いベスト運動の継続を望んでおり、大方の見方としては、活動は継続するものの参加者の数は減り、残った一部がますます過激化、精鋭化する可能性があると専門家らは分析している。

(パリ・安倍雅信)