米朝首脳再会談始まる ベトナム・ハノイ


非核化と見返り焦点

 トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は27日夜、ベトナムのハノイで2回目の首脳会談に臨んだ。最大の焦点は北朝鮮がどこまで非核化の実質的措置に応じるか。米国がその見返りに示すとみられる制裁緩和や朝鮮戦争(1950~53年)の終戦宣言などに関する具体的な内容にも高い関心が集まっている。

トランプ米大統領(左)と金正恩朝鮮労働党委員長

27日、ハノイのホテルで握手するトランプ米大統領(左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(AFP時事)

 両首脳はこの日、会談の会場となったハノイ市内のホテルで二人だけによる会談を約20分間行った。冒頭でトランプ大統領は「大きな進展、いい成果が得られるだろう」とした上で、「北朝鮮は非常に大きな経済的潜在力を持っており、北朝鮮が経済発展できるよう手助けしたい」と述べた。

 これに対し金委員長は、昨年6月の初会談での合意内容が履行されていないことと関連し、「いつにも増して多くの苦悩と努力、忍耐が必要だった」と指摘。「すべての人に歓迎される立派な結果が作り出されるものと確信する」と語った。

 続いて行われた晩餐(ばんさん)会には、米国側からポンペオ国務長官とマルバニー大統領首席補佐官代行が、また北朝鮮側から金英哲・党副委員長兼統一戦線部長と李容浩外相がそれぞれ同席。非核化とそれに相応する見返りについて突っ込んだ話し合いもなされたとみられる。

 前回の会談で両首脳は、朝鮮半島の「完全な非核化」や「平和体制構築」などで合意したが、具体的手順が欠落していた上、相互不信も深く進展しなかった。

 今回の会談では、金委員長が寧辺にある核施設の廃棄などすでに表明している措置に加え、核・ミサイル施設の申告・査察に応じるかが問われる。ただ、トランプ氏は米本土を射程に置く大陸間弾道ミサイル(ICBM)の廃棄など米国への直接的脅威が除去されることに満足し、完全非核化を厳しく追及しないまま見返りに応じる恐れも指摘されている。

 ハノイで会談直前まで続けられた米朝実務者協議では合意文の内容を詰め切れたか不透明。26日午前ハノイ入りした金委員長は首脳会談までの間、現地の北朝鮮大使館を訪問した以外は宿泊先のホテルから外出せず、随行した外務省幹部から報告を受けるなど周到な準備をしたとみられる。北朝鮮が外交成果を挙げたいトランプ氏の足元を見て“攻略”すれば、会談は北ペースに進む可能性がある。

 会談は28日まで行われ、両首脳は共同声明に署名する予定だ。