きょう米朝再会談、非核化の具体的進展が焦点


リスクはらむ終戦宣言

 トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は26日、ベトナムの首都ハノイに到着し、27、28両日開かれる2回目の米朝首脳会談に臨む。会談は、北朝鮮が非核化に向けてどこまで具体的な措置を約束し、これに対し米国がどの程度見返りを与えるかが最大の焦点。論点になっている朝鮮戦争(1950~53年)の終戦宣言が発表される可能性があるが、在韓米軍の駐留意義が問われる事態に発展するリスクをはらむ。

金正恩朝鮮労働党委員長

26日、ベトナム北部ランソン省のドンダン駅に到着し、手を振る北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(EPA時事)

 正恩氏は26日午前に特別列車でベトナム入りし、専用車に乗り換えてハノイに到着。トランプ氏も同日夜、大統領専用機でハノイ入りした。

 両首脳は27日午後、通訳だけを交えた1対1の会談を行った後、夕食会を開く。28日も会談を続け、合意内容を共同声明として発表する見通しだ。

 昨年6月にシンガポールで開催された初の米朝首脳会談は1日だけだったが、今回は2日間にわたって開かれる。前回は信頼醸成に重点が置かれたが、今回は突っ込んだ話し合いが行われる可能性がある。

 北朝鮮が一部の核関連施設の廃棄を約束する代わりに米国が相応の見返りを与えるという「スモールディール」にとどまるとの見方が強い。ただ、外交成果を急ぐトランプ氏が独断で過剰な譲歩をしないか、政権内からも懸念が出ている。

 トランプ氏は業績として誇示できる終戦宣言に前向きとされる。終戦宣言は象徴的な政治宣言にすぎないとされるが、米戦略国際問題研究所(CSIS)のスー・ミ・テリー上級研究員は「米軍が韓国に駐留し続ける必要性に疑問が生じ、最終的に撤退につながる」危険性があると警告する。また、終戦宣言は米朝の信頼醸成につながるものの、非核化とは直接関係がなく、焦点がずれてしまうことも懸念される。

(ハノイ早川俊行)