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中台関係、習政権の強硬姿勢に警戒を


 中国の習近平国家主席は、台湾政策について「武力使用を放棄することは承諾できない。一切の必要な措置を取る選択肢は留保する」と明言した。習政権の台湾への強硬姿勢に警戒する必要がある。

「一国二制度」も検討

 この発言は、台湾政策を武力解放から平和統一に転換した「台湾同胞に告げる書」の発表40周年の記念演説で出たものだ。習氏は武力行使について「外部勢力の干渉や少数の台湾独立派とその分裂活動に対応するもので、決して台湾同胞に向けたものではない」と補足している。

 しかし中国はこれまでも軍事演習や新型ミサイルの配備などで、中国本土と台湾を不可分とする「一つの中国」原則を認めない台湾の蔡英文政権に圧力を強めてきた。武力行使に踏み切らないという保証はない。

 一方、習氏は演説で香港などと同様の「一国二制度」による台湾統一の具体案を検討する考えを示した上で「台湾同胞の私有財産、宗教・信仰、合法的な権益は十分に保障する」と強調した。だが香港では一国二制度が形骸化し、中国の政治的圧力が強まっている。演説を受け、蔡氏が「台湾は絶対に(一国二制度を)受け入れない」と述べたのは当然だ。

 習氏はことあるごとに中台統一への強い意欲を示してきた。年頭に「武力使用」に言及したことは、決意を新たにしたものだとみることもできよう。

 台湾への圧力も軍事面だけではない。外交面では、台湾と国交を持つ国に対して巨額の投資や財政援助などを約束することで、中国と国交を結び台湾と断交させ、台湾を国際的に孤立させようとしている。

 中国は台湾やチベット、新疆ウイグルなどを、安全保障問題の中で譲歩できない国家利益である「核心的利益」と位置付けている。この中で、特にウイグルでは政府の締め付けが強まっており、ペンス米副大統領の昨年10月の演説によれば、100万人ものウイグル人が収容所に投獄されている。台湾に対しても一層の圧力をかけるのではないかと懸念される。

 共産党一党独裁体制の中国と違い、台湾では民主主義が定着している。中国は昨年11月の台湾統一地方選の際、ソーシャルメディアで選挙に介入したとも言われている。

 中台統一を実現しようとする中国の動きを看過することはできない。台湾と価値観を共有する日本や米国などは、台湾を守るための取り組みを強めなければならない。

 米国では昨年、米国と台湾の高官往来を法的に裏付ける台湾旅行法が成立した。さらに、戦闘機の部品を台湾に売却したほか、台湾と断交して中国と国交を結んだカリブ海の島国ドミニカ共和国、中米のエルサルバドル、パナマの3カ国に駐在する大使や臨時代理大使を召還するなど、安全保障や外交面でも台湾を支援している。

日米は関与を強めよ

 中台統一が実現すれば中国の脅威が増大し、地域の不安定化は避けられない。

 日本は米国と連携し、台湾への関与を強めて中国を牽制(けんせい)する必要がある。