世界日報 Web版

エイズ免疫持たせた女児誕生―中国


遺伝子操作に非難噴出

 中国の研究者が、遺伝子組み換え技術「ゲノム編集」で、エイズウイルス(HIV)に対する免疫を持たせた赤ちゃんを世界で初めて誕生させたと発表した。専門家からは、安全性や倫理面での問題などの指摘が相次ぎ、波紋を呼んでいる。

 米カリフォルニア大学バークレー校の遺伝子工学非常勤准教授フョードル・ウルノフ氏はワシントン・タイムズに対し「遺伝子組み換えは非常に有望で大きな可能性を秘めた技術であるだけに、取り組みは慎重に進められている」と、突然の発表に戸惑いと懸念を表明した。

 ピッツバーグ神学校のロナルド・コールターナー神学・倫理学教授は、「急に飛び出してきたことで、科学の発展を支持する誰もが驚いている」と指摘、組み換えが他の専門家からの監視や審査を受けることなく行われたことを問題視した。

 遺伝子組み換えを行ったのは、深圳の南方科技大学の賀建奎副教授。26日に動画サイト「ユーチューブ」で公表された。組み換えは、HIVに感染した父親の精子を受精させた単細胞受精卵で行われ、ゲノム編集でHIVの受容体を取り除くことで、感染しにくい細胞を作り出したという。

 生まれた赤ちゃんは双子の女の子で、両親の身元は明らかにされていない。

 ウルノフ氏は、受精卵の遺伝子組み換えに関して、学界の見解はまとまっておらず、ほかの有効な方法がない深刻で致命的な病気に対して使用されるべきだと否定的な見方を示すとともに、「事実上のデザイナーベイビー」であり、時期尚早との見方を明らかにした。

 ウィスコンシン大学のアルタ・チャロ法律・生命倫理学教授も、「何世代にも影響が及ぶ可能性」があり、今後の医療や社会にどのような影響を及ぼすのかを含め、しっかりとした基準を満たすことを確認すべきだと慎重な見方を示した。

 一方で、「キリスト連合教会」の牧師でもあるコールターナー氏は、宗教界は医療技術の発展を支持してきており、遺伝子組み換えが病気の予防につながるのなら支持すると強調、「神は化学療法を通じて働いているのに、CRISPR(ゲノム編集技術)を通じて働かないとは考えられない」と遺伝子組み換えに肯定的な見方を示した。

(ワシントン・タイムズ特約)