世界日報 Web版

中朝首脳会談、「蜜月」で非核化実現できるか


 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が中国を訪問し、習近平国家主席と会談した。

 正恩氏は3月と5月の訪中でも習氏と会談している。両国の蜜月ぶりを誇示し、非核化をめぐる今後の対米交渉を有利に進める狙いだろう。

米朝協議を前に連携

 正恩氏は米朝首脳会談について「各国の利益と国際社会の期待に合致する前向きな成果を得た」と説明。習氏は「朝米双方が首脳会談の成果を実行するよう望む」と訴えた。

 両首脳は非核化に向けた中朝の連携を確認。正恩氏は非核化の詳細に関して今後本格化する米朝協議を前に「後ろ盾」の中国に頼る姿勢を鮮明にした。

 中国は、北朝鮮が唱える「段階的で同時並行的な核問題の解決」を支持しており、非核化が進めば制裁緩和などの見返りを与えることに前向きだ。だが2005年9月の6カ国協議共同声明で全ての核兵器と核計画の放棄を約束した北朝鮮が、国際社会を欺いて核開発を続けてきたことを忘れるべきではない。

 米朝首脳会談では「朝鮮半島の完全な非核化」で一致した。しかし共同声明には、国際社会が求める「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」やそれに向けた具体的な時期、方法は盛り込まれなかった。

 6カ国協議共同声明も非核化の手順や検証措置などに触れていなかった。6カ国協議の議長国でもある中国が、現時点で北朝鮮への見返りに言及することは無責任だ。

 一方、習氏は会談で朝鮮半島の平和プロセスにおいて「中国は建設的な役割を果たす」と述べた。朝鮮戦争の平和協定締結などに向けて中国が積極的に関与する姿勢を示したものだ。朝鮮半島問題を通じて、在韓米軍の撤退・縮小など中国に有利な安全保障環境をつくり出す思惑がうかがえる。しかし地域における米軍のプレゼンスが低下すれば、情勢の不安定化は避けられない。

 米韓両国は、8月に予定していた定例の合同指揮所演習「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」の中止を決定した。北朝鮮に対する「最大限の圧力」の一環である演習の中止は、非核化に向けた北朝鮮との交渉継続を重視したものだが、正恩氏や習氏の狙い通りの展開だと言わざるを得ない。

 トランプ米大統領は「戦争ゲームは挑発的だ」と断じ、一方的に米韓演習中止を表明した。韓国や日本にも事前に相談はなかったとされる。こうしたトランプ氏の姿勢は気掛かりだ。

 北朝鮮の核やミサイルなどの脅威が取り除かれていない中、演習中止によって米韓両軍の即応性が低下すれば地域の安全を脅かすことにもなる。米朝の非核化交渉が長引けば、来年3月ごろの実施が見込まれる野外機動訓練「フォール・イーグル」や指揮系統演習の「キー・リゾルブ」など主要な米韓演習も中止される可能性がある。

北の時間稼ぎを許すな

米韓は米朝交渉が決裂した場合、いつでも演習を再開できるよう準備すべきだ。北朝鮮が交渉を引き延ばす戦術を取ることも考えられるが、時間稼ぎを許してはならない。