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台湾潜水艦計画、米国は地域安定に向け支援を


 台湾の経済団体「台湾国防産業発展協会」は、米国の軍事企業と技術協力について議論する「台米国防産業フォーラム」を5月10日に南部の高雄市で開くと発表した。

 台湾の蔡英文政権は軍艦や軍用機を自前で開発する国防自主政策を掲げる。だが、潜水艦のエンジンなど一部の技術は海外からの導入が必要であるため、米国の協力が欠かせない。

自主建造の道開ける

 台湾が保有する4隻の潜水艦は、いずれも老朽化が進んでいる。米国はブッシュ(子)政権下の2001年、台湾への潜水艦売却に同意したが、中国への配慮で見送られた。

 米政府は今月初旬、台湾の潜水艦自主建造計画に米企業が商談参加することを認めた。台湾にとって初の自主建造に道を開くものだ。

 フォーラムには、米国からロッキード・マーチン社など大手を含む15社以上が参加する見通し。今後、フォーラムを機に商談が進む可能性がある。

 仮に台湾が米側から関連装備や技術の供与を得られた場合、「早ければ20年代半ばにも初の国産潜水艦を実現できる」(主要紙の自由時報)という。米企業の商談参加を容認したのは、台湾との連携を強化するトランプ米政権の姿勢を示したものだと言える。

 トランプ政権は、米国と台湾の軍艦船の相互訪問検討を盛り込んだ国防授権法や、あらゆるレベルの米台高官の往来を解禁する台湾旅行法を成立させるなど、台湾への配慮を鮮明にしている。貿易・通商分野を中心に中国・習近平政権との関係が悪化する中、トランプ政権の台湾シフトを読み取れる。

 昨秋の中国共産党大会や今年3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で権力基盤を固めた習国家主席は、中台統一に向け強硬路線に打って出る恐れもある。全人代では「祖国の完全統一実現は中華民族の根本利益だ」と訴えるとともに「祖国分裂の行為は必ず失敗する」と述べて「一つの中国」原則を認めない蔡政権を牽制(けんせい)した。

 中国は遠方で米軍に脅威を与え、近海でも自由な活動をさせない「接近阻止・領域拒否(A2AD)」戦略を取っている。中国の保有する約60隻の潜水艦は、この戦略で重要な役割を果たすと考えられている。今年1月には、巡航ミサイルや魚雷の搭載が可能な中国の原子力潜水艦が、沖縄県・尖閣諸島周辺の接続水域に進入した。

 中国が軍事拠点化を進める南シナ海では、空母「遼寧」など48隻の艦艇による中国海軍の観艦式が行われ、習氏は「世界一流の海軍を建設」するよう求めた。中国海軍は今月18日に福建省沖の台湾海峡で実弾射撃による軍事演習を実施する。こうした情勢を踏まえても米台関係の強化は重要である。

対中国で能力底上げを

 中国との対峙(たいじ)において、世界有数の自衛隊の潜水艦戦能力に比べて、台湾の力が弱いので、米国としては今のうちに底上げしておく必要がある。

 それは、台湾の防衛力向上に資するだけでなく、日本をはじめとする地域の安全保障にも有益である。