世界日報 Web版

孔子学院、中国のスパイ活動を警戒せよ


 中国政府は「ソフトパワー」戦略の柱として、中国語や中国文化を教え、普及する「孔子学院」を海外の大学などに設立して後援している。

 だが米連邦捜査局(FBI)は、孔子学院が米国内でスパイ活動に関わっているとして調査を進めている。

 FBIが調査進める

 FBIのレイ長官は2月、米上院情報特別委員会の公聴会で「孔子学院の米国での活動を監視しており、中には捜査に発展したものもある」と述べ、孔子学院は中国がスパイ活動などに「利用している」さまざまな手段の一つだと指摘した。

 孔子学院は主に海外の大学内に設置され、表向きは中国語と中国の文化を教えている。しかし、中国に有利な中国観を吹き込むなどプロパガンダと感化活動の拠点となり、人権擁護活動に抗議する中国共産党の学生グループを組織するなどの活動も行っている。

 中国政府は2004年に孔子学院を韓国のソウルに初めて設立して以来、現在日本を含め世界526カ所に開設している。20年までに全世界で1000カ所設置するとしている。

孔子学院が世界的に急増する背景には、中国政府の手厚い支援がある。教員、教材、カリキュラムを無償で提供するほか、毎年10 万㌦以上の資金を援助。至れり尽くせりの支援で人気の高い中国語講座を設けられるため、各国の教育機関が飛びついている状況がある。

しかし資金援助を受けている手前、天安門事件や人権侵害など中国政府が嫌がる問題には触れない「自己検閲」を余儀なくされている。言論や学問の自由が侵されている状況は看過できない。

 世界で孔子学院が最も多く存在するのが米国だ。スタンフォード、コロンビアといった名門大学をはじめ16年末時点で110カ所ある。中国政府が対外プロパガンダで、それだけ米国を重視していることの表れとも言える。レイ長官は、中国が「米国の開かれた研究・開発環境を悪用している」と指摘した。

 ただ、こうした懸念の声は既に米国内で上がっている。米国大学教授協会は14年6月、「孔子学院は中華人民共和国の国家の手足として機能しており、学問の自由が脅かされている」と批判し、協力関係を絶つよう各大学に勧告。同年9月にはシカゴ大とペンシルベニア州立大が相次いで提携を打ち切った。こうした動きは米国だけでなく、カナダや欧州諸国でも広がりつつある。

 警戒を要するのは、孔子学院が中国のプロパガンダだけでなく、スパイ活動の拠点となっていることだ。レイ長官は、全米で教授や学生らが協力者として利用されていると述べている。極めて憂慮すべき事態だと言わざるを得ない。

 提携解消も含めた対応を

 日本では早稲田大や立命館大など14の大学で孔子学院が設立されている。だが、米国のような警戒心は見られない。

日本の各大学は孔子学院を拠点とした中国のプロパガンダやスパイ活動の危険性を認識しなければならない。提携解消も含めた対応が求められる。