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インド太平洋戦略、日米豪印の連携で推進を


 トランプ米大統領は初のアジア歴訪開始に当たって、米軍横田基地(東京都)で「同盟国と協力を模索し、自由で開かれたインド洋・太平洋地域を推進する」と述べた。安倍晋三首相との会談でも「インド太平洋戦略」を進めることで一致した。

 中国に対抗する狙い

 インド太平洋戦略は、インド洋と太平洋をつなぐアジア・アフリカ地域の安定と成長を目指すものだ。戦略の実現には、日米両国とインドやオーストラリアが安全保障分野などで連携を強め、太平洋からインド洋にかけての平和と安定を確保するとともに、航行の自由や法の支配といった価値観を地域に浸透させる必要がある。

 安倍首相とトランプ氏、豪州のターンブル首相はフィリピンの首都マニラで会談し、インドを加えた4カ国の枠組みで戦略の推進を目指すことで合意。安倍首相はインドのモディ首相との会談でも戦略実現への協力を確認した。

 この戦略は、安倍首相が2016年8月にケニアで開かれたアフリカ開発会議(TICAD)で提唱した。日本を含む多くのアジア諸国にとって、マラッカ海峡からインド洋を経てペルシャ湾やスエズ運河に至るシーレーン(海上交通路)は、中東からの原油や天然ガスの輸送路になっているため極めて重要だ。

 一方、中国は東・南シナ海で強引な海洋進出を続けているほか、インド洋でもパキスタンのグワダル港やスリランカ南部のハンバントタ港といった重要港湾で数十年に及ぶ運営権を取得している。こうした拠点はインドを包囲する形で点在しているため、「真珠の首飾り」戦略と呼ばれる。

 中国はシルクロード経済圏構想「一帯一路」を掲げて海洋権益の拡大を図っている。インド太平洋戦略には、覇権主義的な動きを強める中国に対抗する狙いがある。

 安倍首相はベトナムで中国の習近平国家主席と首脳会談を行い、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮への圧力強化に向けて連携を深めることを確認。マニラでは中国の李克強首相とも会談した。中国首脳と短期間に相次いで会談するのは異例だ。

 安倍首相が中国との関係改善に動いたのは、北朝鮮問題解決のために北に大きな影響力を持つ中国の協力を得る狙いがあろう。しかし、沖縄県石垣市の尖閣諸島沖では中国公船による領海侵入が繰り返されている。中国が東シナ海の日中中間線付近で一方的にガス田開発を行っている問題も未解決のままだ。安倍首相は習氏との会談で「東シナ海の安定なくして、日中関係の真の改善はない」と述べた。

 中国共産党大会で権力基盤を強化した習氏が、力による現状変更の動きを一層強めることも懸念される。中国への警戒を緩めることはできない。

 地域の平和と安定の礎に

 日米両国は同盟のさらなる強化に努めるとともに、インド太平洋戦略推進のために主導的役割を果たすことが求められる。

 日米安保体制は今や国際公共財と認識されている。インド太平洋戦略も地域の平和と安定の礎となるように、日米豪印は緊密に連携しなければならない。