東南アジアに触手伸ばすIS、比南部で治安部隊と衝突


 英マンチェスターで起きた自爆テロが大きな衝撃を呼んだ一方で、フィリピン、インドネシアなどで過激派組織「イスラム国」(IS)系組織によるテロが増加している。

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25日、インドネシアのジャカルタで、自爆テロの犠牲者のひつぎを運ぶ警官(AFP 時事)

 米情報当局者はワシントン・タイムズに「ISは、フィリピン内の複数の組織からの忠誠を受け入れることを明らかにしている。東南アジアの支持者には、シリアに行けない場合は、フィリピンに行くよう呼び掛けている」とISが政府の統治の及ばないフィリピン南部での支配の拡大を進めていることを指摘していた。

 さらに「世界的な野心を持つISは、支持者、支援者らのネットワークを築いて、東南アジアでの影響力を拡大しようとしている」とインドネシアを含む東南アジアでの拠点の構築をもくろんでいると警告した。

 フィリピン南部に拠点を持つイスラム系武装組織が23日、治安部隊と衝突し、数十人が死亡、24日にはインドネシアのジャカルタで、連続爆弾テロが発生し、ISが犯行声明を出した。

 テロ専門家らは数カ月前から、中東の支配地を失ったISが、東南アジアで勢力を拡大する可能性があると警告してきた。

 衝突が起きたのは比南部ミンダナオ島のマラウィで、広大な森林の中に約20万人が住み、その大部分はイスラム教徒。治安部隊の数日間に及ぶ地上作戦の後、28日には軍が空爆を行った。比軍によるとこれまでに、61人の戦闘員、兵士11人、警官4人が死亡した。またAP通信によると、処刑されたとみられる8人の民間人の遺体が見つかった。

 インドネシアのシンクタンク「紛争政策分析研究所」は「フィリピンのIS指導部は、ISのカリフ制の一部」と、ISが比南部へ浸透している現状を指摘した。

 比南部のテロ組織アブサヤフは、インドネシアに拠点を持つアルカイダ系テロ組織ジェマ・イスラミアと連携していたが、2014年にIS支持を宣言し、東南アジアの「首長」に任命されている。

(ワシントン・タイムズ特約)