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韓国離反招く中国の防空識別圏の拡大


韓国紙セゲイルボを読む

 中国はなぜ突然、防空識別圏を延ばしたのだろうか。韜光養晦(とうこうようかい)でいう「まさにその時が来た」と考えて、対外路線を「主動作為」に転換したのか。

 中国内部を見ればそうではない。中国は上海自由貿易地区を作った。これを国内全域に拡大して、成長の新しい原動力にする。資本を引き込んで、貿易を拡大しなければできることではない。また、習近平主席は6月の訪米で米国が主導する環太平洋パートナーシップ(TPP)協定に高い関心を示していた。

 これでは外交軍事路線と経済路線の軌道が違う。だから外部から及んだ変数を考えることになる。安倍晋三首相は世界を回り、集団自衛権のお墨付きをもらっている。尖閣紛争で正当性を確保したかのように行動する。

 習近平体制は、これに対応しなければ危うくなる。指導者の権威が崩れれば共産党体制が脅かされる。防空識別圏拡大はこれに伴うカードなのだ。

 それなら戦争をする意思はあるのか。いや米中とも経済再建の方が重要だ。ただ、日本が対立を作り出せば、米国は日本側、中国は反対側に立たざるを得ない。多くの弱点がある。「味方集め」が重要だが、中国には北朝鮮しかいない。

 中国の敗着(囲碁で負けの決め手)は何か。韓国の領域を中国防空識別圏に組み入れて、韓国を反中国の側に押しやったタカ派の決定がそれだ。中国に好感を持っている大韓民国だが、タカ派がごり押しすれば、反対側に回ることになり、中国はさらに孤立し、相手はさらに強くなる。

 中国が得るものは排他的支配権も行使することのできない防空識別圏で、失うのは経済的な利益と国際政治舞台での指導力だ。損の方がはるかに大きい。

 中国に尋ねる。蘇秦(注)はいないのか、と。

(姜浩遠〈カンホウォン〉論説室長、12月3日付)

(注)中国戦国時代の弁論家で、諸国を遊説して合従を成立させたとされる人物。