テロ対策充実には3、4年―「同時テロ2年」
化学物質扱う工場の防備を―米専門家
【ワシントン6日時事】米国を襲った同時テロから、間もなく二年。米社会はテロへの備えが十分にできているのだろうか。有力シンクタンク、ヘリテージ財団の安保問題専門家であるジェームズ・ジェイ・カラファノ上級研究員は、第二次大戦後の時期と比較しながら、「テロの脅威に効果的に対処できる国家安保システムを確立するには三、四年はかかるだろう」と述べ、その間に国民の関心が薄れるのが気掛かりだと語った。
カラファノ氏は、中央情報局(CIA)や国防総省の創設につながった国家安保法成立が一九四七年であり、北大西洋条約機構(NATO)創設が四九年だと指摘。ソ連との冷戦を戦う体制が整ったのは、約十年後の五七年ごろだとして、「試行錯誤を繰り返しながら、システムを整備していくには数年かかる」との見解を示した。
同氏はさらに、ブッシュ政権下でCIAと連邦捜査局(FBI)など情報機関の連携が進んだことや、アフガニスタン戦争でテロ組織アルカイダの「聖域」が排除された事実は「非常に大きな前進」と評価した。しかし、その半面、「同時テロの起きた九月十一日の記憶が薄れるにつれ、人々の間に危険が去ったかのような自己満足的な雰囲気が広がるのを心配している」と警告した。
一方、米各地の生物・化学テロへの備えを調査してきたシンクタンク、スティムソン・センターのエイミー・スミスソン上級研究員は、ニューヨークやカリフォルニア州などで危機管理体制が充実度を増していると評価しながらも、国土安全保障省創設は官僚機構を再編しただけだと批判。連邦政府の役目は、地方レベルの救急医療体制を強化する予算面での支援や医療関係者への教育・訓練強化にあると主張した。
スミスソン氏は、生物テロよりも大都市周辺の化学物質を扱う工場をテロリストが破壊するなどして「兵器に転用」し、周辺住民を危険にさらすのを懸念すると語り、主に化学テロの防止とその被害を最小限に食い止める方策に全力を挙げるべきだと語った。