戦争の行方に不安広がる―米
「計画通りの兵力展開」と国防総省
【ワシントン30日時事】開戦から十一日目に入った対イラク戦争では、一気に北上して首都バグダッドに迫った米陸軍部隊が、民兵による補給路攻撃や自爆テロに脅かされるなど足踏み状態になり、首都決戦は当初の予想よりかなりずれ込みそうな雲行きになってきた。米国内では、「戦場と上層部で二つの見解」(ニューヨーク・タイムズ紙)、「楽観的なトーンに終止符」(ワシントン・ポスト紙)などと、戦争の行方に不安の声が広がっている。
二十九日付のニューヨーク・タイムズは、戦場で指揮する司令官が、予想以上のイラク側の抵抗に驚く半面、カタールに陣取った米中央軍の司令部では「驚きはなし、作戦の調整はなし、補給の問題もなし」という態度を取っているとして、実際に敵に遭遇した指揮官と戦場から離れた司令部の食い違いを皮肉った。
国防総省で二十九日に行われた記者会見で、クラーク報道官は「作戦は大きく進展している」「これまでの計画に沿い、米英軍の増派勢力が連日、イラクに投入されている」と強調。「ラムズフェルド国防長官は過去二週間、新たな展開命令に署名していない」として、最近発表された十万人規模の増派が急に決まったわけではないことを改めて説明した。
一緒に会見したマクリスタル統合参謀本部作戦副部長は、前線の米軍部隊への補給路には問題がなく、「水や食料、弾薬などが必要な分だけ前線に供給されている」と楽観的な見方を示した。
しかし、「一気に北上して、四日も五日も待つ作戦の戦略的意味は何なのか」との質問に、クラーク報道官は明確には答えず、「私がサダム・フセイン(大統領)なら、震え上がるだろう」と述べるにとどまった。
当地の軍事専門家の間では、米軍の展開力の速さを称賛する声が多く、制空権を完全に握っている米英軍が、共和国防衛隊の戦車などを徹底的に破壊すれば、バグダッド包囲は近いと予測する見方が支配的だ。
ただし、ハドソン研究所のウィリアム・オードム上級研究員(退役陸軍中将)は「戦争が一カ月で終われば、極めて早い。二カ月なら大変な成功と言うべきだ」としながらも、「戦争前に国防総省などの一部指導者が、戦争が極めて短期間で終わるとの印象を国民に植え付けすぎた」と批判している。