米経済にのし掛かるイラク戦費
長期化で予算の追加補正も
上院は大規模減税に反旗
ブッシュ大統領自身が「終結から程遠い」と対イラク戦の長期化を示唆する中、米国で戦費増大への懸念が強まっている。大統領は戦争に勝利する一方で、大規模減税によって力強い景気回復を実現し、二○○四年の大統領選で再選を確実にする戦略だった。しかし、イラク戦が長期化すれば、予算の追加補正を余儀なくされ、シナリオの練り直しを迫られることになる。
◇「一次補正」は九兆円
ブッシュ大統領は二十四日、イラク戦費を主体とする総額七百四十七億ドル(約九兆円)の補正予算を議会に要請した。一方、ダニエルズ米行政管理予算局(OMB)長官は、「ブッシュ政権は今回の補正予算がイラク戦で唯一のものになると信じ、そう望んでいる。だが、(将来のことは)だれにも分からない」と述べ、第二、第三の補正を求める可能性を否定しなかった。
米英軍は激しい砂嵐やイラク軍の予想を上回る抵抗に手を焼いており、二十七日付のワシントン・ポスト紙は「戦争は数カ月続く恐れがある」との米軍高官発言を伝えた。戦争が長引けば長引くほど支出は膨れ上がり、財政赤字の急拡大も懸念される。
◇ブッシュ減税案を半減
米財政収支は一九九八年度から二○○一年度まで黒字を計上していたが、○二年度から赤字に転落。スノー財務長官はこれまで、財政赤字の水準は、米国の経済規模を考えれば管理可能と指摘してきた。だが、予算の大型補正に続き、米政府が第二、第三の補正を求めることになれば、「財政赤字は低水準」との主張も議会で通らなくなってしまう。
そんな中、米上院は二十五日、ブッシュ大統領が新総合経済対策で提案した減税規模を半分以下の三千五百億ドル(約四十二兆円)に削減する予算決議の修正案を可決した。審議は今後上下両院協議会に場所を移すが、共和党多数の上院が突如、大規模減税に反旗を翻したことで、総合経済対策がブッシュ大統領の提案から懸け離れた内容になることも考えられる。
◇金融政策にも限界
一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は十八日、政策金利を据え置くとともに、イラク戦の先行き不透明感を理由に、金融政策の運営姿勢の決定を見送るという異例の措置を取った。戦時という緊急事態にあって、中央銀行の金融政策にも限界があることを露呈した形だ。
湾岸戦争に勝利しながら、経済対策が後手に回って再選を逃した父親の二の舞いは避けたいブッシュ大統領。開戦前に描いていた理想の筋書きは、内外で大きく狂いつつある。(ワシントン時事)