イラク戦争でハイテク産業が活況
軍が商用技術を積極活用
【ロサンゼルス27日宮城武文】遠隔操作で遠い標的を正確に爆撃するなど今回の対イラク戦争では米国のハイテク兵器の威力が際立っているが、背景には商用ハイテク技術を積極的に軍事転化する米軍の戦略と生き残りをかけて激しく競争するハイテク産業の活況がみられる。
ハイテク兵器の基本技術となっているのは高度な通信技術。そうした基本技術を提供して軍に採用された会社の一つにシエラ・モノリシックス社がある。同社は光ネットワーキング技術を提供、今回の戦争ではイラク上空から無人偵察機を通じてクリアなビデオ映像を送信している。同軸ケーブルを使うと重量が重くなり軍用機には大きなマイナス要素。ガラス繊維による光通信で、大量の情報の送受信を可能にした同社の光素子の開発は大きな威力を発揮した。
同社はもともとテレコミュニケーション技術の商用開発に力を注いでいたが、近年の不況のあおりを受け赤字に転落。軍からの受注で息を吹き返した。ハイテク会社にはこうした「戦争の配当」の恩恵に浴したケースが多い。
米国の国防予算は一九九九年度の二千六百十億ドルから二〇〇三年度は三千六百十億jに跳ね上がっている。
ハイテク会社は「金を持っている唯一の顧客は政府だ」との認識の下に、軍事費拡大の傾向にある現政権下で、積極的に軍事受注を取るため、営業活動を強化している。この中には今まで軍事受注には無縁だった民間ハイテク企業も多く含まれている。
シエラ・モノリシックス社と同様、軍部からの受注で息を吹き返した通信・テレコミュニケーション会社には、本社のコンピューター機能を携帯電話に分散させる技術を開発したアセンデント・テレコミュニケーションズ社、迎撃ミサイル「パトリオット」を開発したレイセオン社傘下の無線通信会社テラシック・コミュニケーションズなどがある。
また、必要な情報をカテゴリーごとに集めるサーチエンジンを開発したインクサイト・ソフトウェア社なども今回、大きな威力を発揮。イラク軍幹部にフセインに反旗を促し、米軍に抵抗しないよう心理作戦を展開されたことが報道されているが、これはイラク軍幹部の携帯電話や電子メールアドレスを同社の技術を使って突き止め、各個撃破を行うことが可能になったからだ。
ハイテク軍需産業会社は「戦争の配当」がいつまでも続くとは考えていない。しかし、今回の戦争で軍事受注を受けることは「高度な技術を持っていると認定される」ものとみなし、今後の商用営業戦略面でも大きなプラスになるとみている。