米国内に動揺広がる
士気衰えぬイラク、捕虜の安否懸念
【ワシントン25日時事】米英軍のイラク攻撃に不安感が漂い始めてきた。イラク兵の大量投降を狙った、大規模空爆による「衝撃と恐怖」作戦は続いているが、イラク軍の士気は衰えていない。米英軍が首都バグダッドに近づくにつれ、イラクの抵抗は激しさを増している。捕虜となった米兵と、家族の心配そうな表情が繰り返しテレビで報道されるにつれ、超大国・米国の不安と動揺も広がりつつあるようだ。
米国防総省のクラーク報道官は二十四日の記者会見で、米軍をペテンにかけたようなイラクの「だまし戦術」を厳しく非難した。「イラク兵は白旗を掲げて降伏してきたり、自由になった市民を装ったりして、米英軍を待ち伏せ場所に引き込もうとしている」「イラクの背信・裏切り行為は重大な戦時国際法違反だ」−。
米軍は「衝撃と恐怖」作戦を進める一方、空からは二千五百万枚以上のビラを投下してイラク軍の投降を呼び掛けてきた。しかし、思ったほどイラク兵の投降は増えていない。また、米軍は市民の死傷者をできるだけ出さないよう市街戦を極力回避してきたが、これも誤算に。市民の中に紛れ込んだイラク民兵が散発的に現れては、ゲリラ攻撃で米軍を苦しめている。特にフセイン大統領に忠誠を誓う民兵組織「サダム・フェダイーン」は士気が高い。
米攻撃ヘリコプター「アパッチ」はイラク精鋭部隊の共和国防衛隊メディナ師団との戦闘を開始。しかし、アパッチ一機が撃墜され、乗組員二人が捕虜となった。これで米兵の捕虜は計七人。ブッシュ大統領や米国防総省は捕虜の人道的な扱いを懸命に訴えているが、家族の不安は消えない。
フランクス中央軍司令官は二十四日、「(イラクの)抵抗は散発的だ」と、米英軍の苦戦を否定した。しかし、たとえ抵抗が散発的であっても、戦闘が長引けば長引くほどボディーブローのように効いてくるだろう。米国は泥沼化したベトナム戦争の悪夢を思い出さずにはいられなくなる。