戦後暫定統治機構の概要判明―米紙
3分割、亡命イラク人数千人を投入
【ロサンゼルス19日宮城武文】十九日付けの米紙ロサンゼルス・タイムズは米軍がイラクを占領した後、北部、中部、南部の三つの地域に分けて米専門家と数千人の亡命イラク人を投入して暫定統治するシステムの概要を報じた。
同報道によると、暫定統治行政の中心となるのは、米国際開発局(AID)の災害救助対策の専門家と亡命イラク人で、統率するのは一九九一年の湾岸戦争後、北部イラクのクルド人地区で復興の指揮をとったことがあるジェイ・ガーナー陸軍将校。
戦後の暫定政権については、アフガニスタン方式で全部族、全宗派代表による協議会が設けられることがすでに発表されているが、占領直後の混乱期は特別の訓練を受けた者が暫定統治行政に携わる必要がある。
そこで米国防総省は米国とヨーロッパから亡命イラク人を募集し、ハンガリーのタザー基地で秘密裏に過去数カ月にわたって民間と軍合同の行政、救助対策、小火器の扱いなどについて特別訓練を行ってきた。
AIDの専門家と一部の亡命イラク人は二十日までにクウェート、ヨルダンに集結し、米軍がイラクを占領し、安全を確保したした時点でイラク入りすることになっている。
戦後暫定統治の構想プランでは、ガーナー将校の下にイラクの再建計画に当たるコーディネーターとして一人のAIDのベテラン行政官、民間行政コーディネーターとして一人の退役将校、人道的支援コーディネーターとして元米大使の三人が置かれ、さらに三つの行政区にそれぞれ一人のコーディネーターが配置されることになっている。
再建計画に携わっている米国防総省の高官によると、「イラクを占領した時よりもより良い状態でイラクを復興し、出来るだけ早くイラク人の手に戻すのがわれわれの任務だ」と述べている。
イラク再建に関しては、道路、上下水道などインフラ整備、学校、病院、五つの空港の再建などですでに米民間業者などに対して入札を促している。また、イラクの重要な資源である石油施設に関しては、米石油関連会社が整備、開発に当たることになっており、イラク参戦で支持を表明しなかったロシアなどの利権が失われる可能性があり、戦後イラク復興の国際的利害対立として問題が浮上してくることが懸念されている。
ガーナー将軍については、前湾岸戦争時の復興計画で収めた実績から、評判が高い。北部クルド人地区の行政を担当した当時はイラク軍が存在していて非常に危険な状態だった。そこでガーナー氏はイラク軍の将校と直談判し、クルド人のために安全地域を確保したいきさつがある。ガーナー氏が任務を終えて地域を離れる時には、何千人ものクルド人が別れを惜しんで集まってきたという。
復興計画に関しては、北部のクルド人地区の扱いをどうするかが大きな課題の一つになる。反トルコのクルド人地区と国境を接するトルコとしては、行政地区の独立を含めたクルド人の権益拡大について疑心暗鬼になっている。今回の対イラク戦争では、トルコ議会が反対して米軍にトルコの基地使用を許さなかったため、イラクの戦後復興計画に関してはトルコ側の発言権が削がれる結果になった。
戦後日本の復興総責任者としてマッカーサー占領軍総司令官は、異なる利害の対立の中で見事な采配を振るったが、ガーナー将軍に対しても同様な期待をする声も出ている。