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事態は急転、議論は「戦後」へ

安保理に見切り―米英スペイン

決裂に揺れる国連

国連総長「正当性に疑問」―米大統領「3決議が根拠」

 【ニューヨーク18日池本拓】昨年秋から続いてきたイラクの武装解除をめぐる外交協議に、ついに幕が下ろされた。米英・スペインは十七日、イラクに最後通告を突き付ける決議案を放棄。大量破壊兵器という重大な問題で断固とした姿勢を取ることができない安保理に見切りを付けた。国連はその集団安全保障体制を揺さぶられた格好だが、事態が急転する中で、議論の焦点はイラクの戦後復興へと向かおうとしている。

 <採決放棄の決断>

 米英スペインの政府当局者は、十六日のポルトガル領アゾレス諸島で行われた首脳会談の後、各国と最後の協議を行った。

 十七日午前七時――。「電話魔」のパウエル米国務長官が、受話器を取り上げた。二十数カ国の首脳、アナン国連事務総長らに次々と電話をかける。午前九時までに、三カ国首脳は「決議案の撤回」で最終合意。長官は直ちに、ネグロポンテ国連大使に発表を指示した。国務省高官の一人は、「実際に採決を望んでいたのは、フランスだけだった」と打ち明ける。

 三カ国が外交協議の打ち切りを表明した後も、フランスやロシア、ドイツは「平和的な武装解除」の道を探ろうとした。非公式協議の後、安保理のトラオレ議長(ギニア国連大使)は、今後の査察計画に関する協議を十九日に開くと発表した。仏ロ独の提案を受けたものだ。

 しかし、すでに遅かった。「安保理は、もはや行動を起こす場所ではない」――。仏ロ独の動きについて、米国務省のある高官はそう言い切った。イラクの「未解決の問題」は、もうどうでもよいのだ。

 <揺らぐ「正当性」>

 米英などの武力行使が、国際法や国連憲章に照らして正当なのか、解釈は分かれる。アナン事務総長は同日、安保理の支持を得ない武力行使は「正当性には疑問があり、支持は減少する」と述べた。

 これに対し、ブッシュ米大統領は夜の演説で、「安保理はその責任にこたえなかった」と反論。武力行使は、決議六七八、六八七、一四四一に基づいて容認されるとの考えを示した。三決議はいずれも、武力行使を認める国連憲章第七章に依拠している。

 大統領が演説で示したのは、テロが最大の脅威となった現代において「いつ、どのように国を守るのか」の方針だ。「先制的自衛」の概念を含むこのドクトリンは、半世紀以上前に書かれた国連憲章と完全に一致するものではない。

 <議論は「戦後」へ>

 ただ、そうした問題に目を向ける間もないほど、事態の進展は速い。国連での議論の中心は、急速にイラクの戦後復興に移っていくとみられる。アナン事務総長も十七日、「問題がどのように解決されるかにかかわらず、安保理には果たすべき役割がある」と述べ、イラクの戦後復興に国連が重要な役割を果たすとの見通しを示した。

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