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イラク軍の戦意喪失狙う集中空爆を計画―米軍

対イラク武力行使

 【ワシントン17日横山裕史】ブッシュ米大統領のフセイン・イラク大統領に対する最後通告により、米国主導の対イラク武力行使はほぼ不可避の状況となった。イラクが南部の油田で原油の放出など石油資源破壊活動を開始している兆候があることなどから、それを阻止するためにも、四十八時間の期限終了後速やかに軍事作戦が開始される見通し。米国以外に約十五カ国が何らかの形で軍事作戦に加担するとみられる。ブッシュ大統領は開戦後に議会に対して、戦争関連費用として約八百億ドルの支出を要請する構えである。

 米国の軍事作戦は、開戦段階で世界史上類例を見ない集中的な大規模空爆を行うことにより、イラク軍に心理的衝撃を与え、戦意喪失、フセイン大統領からの離反を促すことを目指す。これはイラク軍や施設の不必要な破壊を避け、戦後のイラク再建を容易にするため。このためB2戦略爆撃機など九一年湾岸戦争時にはなかった最新鋭兵器が動員される。さらに米軍機総数の三分の一以上に当たる戦闘機、爆撃機一千機、五空母艦隊、トマホーク巡航ミサイル装備の三十隻を含む百二十隻の艦船が戦闘に参加する。

 精密誘導兵器などハイテク兵器の性能は湾岸戦争当時よりも格段に高まっている。湾岸戦争時には緒戦の空爆で使用されたスマート爆弾は全体の10%にすぎなかったが、今回は80%がスマート爆弾になる予定。さらに通常兵器としては最も破壊力の大きいMOABという十トン大型爆弾も使用される。電話、コンピューターなどの機能を電磁波により狂わせるE爆弾などの新兵器も活用され、フセイン大統領やイラク軍司令本部と部隊との通信システムを破綻させ、フセイン大統領と側近を孤立させることが重要な作戦目標になっている。

 集中空爆後、速やかに開始される地上戦では、クウェートから国境越えで侵攻する米軍部隊が主力。イラク軍五師団が防備するイラク南部を大きな抵抗なく突破すると予想されており、約五百キロを進撃して週末までにはバグダッド付近まで到達すると見られている。地上戦では、バグダッドを防衛する共和国防衛隊師団および共和国防衛隊特殊旅団との間で最大の激戦になることが予想される。不確定要因としては、イラク軍が開戦段階で化学・生物兵器を使用する可能性があり、それによっては米軍がバグダッドへの進撃に予想以上に苦戦する恐れもある。

 また米軍は、イラク西部砂漠地帯に配備した化学弾頭を装填した地対空ミサイルによる攻撃がイスラエルに対して行われる可能性を警戒している。イスラエルはこうした攻撃には報復すると明言しており、戦争が拡大する恐れがある。このため空爆および地上軍投入では、西部のイラク軍ミサイルが主要な標的になる見込みである。

 今回の軍事作戦では、厳しい報道統制が敷かれた湾岸戦争と異なり、六百六十二人もの報道関係者が米軍部隊と同行手段が許されている。圧倒的戦力をもつ米軍の自信が表れだが、戦闘が長引くような場合はマスコミ報道が米国内に批判的世論を広める可能性もあり、ブッシュ政権にとっては大きな賭けといえる。

 また対イラク武力行使に伴う報復テロも警戒されており、米政府は十七日、米国内のテロ危険度を上から三番目の黄色から二番目のオレンジに引き上げた。主要インフラや観光名所などの警備体制が強化されている。

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