亀裂、文書で顕在化―安保理
見解の相違大きく―注目のミサイル廃棄
【ニューヨーク24日池本拓】イラクの大量破壊兵器査察をめぐって二十四日、米英両国が新たな決議案を、フランスやドイツなどが「覚書」をそれぞれ安全保障理事会に提示したことで、安保理の亀裂が文書の形で顕在化した。イラクをめぐる協議は一つの区切りを迎え、事態は「終わりの終わり」に突入したといえる。
米国は依然、「新たな決議は必要ない」との姿勢を変えていない。しかし、米国による武力行使に加わる「意思の同盟」(ブッシュ大統領)である英国やスペイン、イタリアなどは、国内事情から新決議という「お墨付き」を必要としている。
このため米国としても、採択に必要な常任理事五カ国の同意票(賛成または棄権)を含む九カ国の賛成を取り付けるため、フランスなどへの説得を続ける。
しかし、「武力行使以外に武装解除は不可能」とする米英と、「証拠の欠如」を理由に査察の延長を主張する仏独との見解の相違は大きい。これは、イラクの「脅威」をめぐる判断の違い、異なる価値観・世界観、双方が抱えた権益などによるもので、妥協が成立する気配はない。
この溝を埋めるものがあるとすれば、それはイラクの「紛れもない」決議違反が示されることだ。
国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長はすでに、「決議違反」と判断された弾道ミサイル「アッサムード2」の廃棄作業を三月一日までに開始するよう要求している。だが、フセイン大統領は二十四日、米CBSによるインタビューの中で、これを拒否した。
同委員長はまた、二十四、二十五の両日、UNMOVIC理事会を招集し、査察をめぐる三十項目の「未解決の問題」を明確化する作業を進めている。
ブリクス委員長はかねて、十分な協力がないまま査察を延長することに否定的な考えを示しており、イラクの対応と委員長の判断が、安保理の議論の流れを決めることになる。