査察団、安保理に報告
内容は「灰色」―協力「不十分」と非難か
【ニューヨーク27日池本拓】国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長と国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は二十七日午前十時半(日本時間二十八日午前零時半)すぎから、国連安全保障理事会に対し、イラクの大量破壊兵器査察に関する初めての公式報告を開始した。安保理はこの後、非公開の協議に移る。
ブリクス委員長はこれまでの二回の中間報告で、「大量破壊兵器はすべて廃棄した」とのイラク側の主張について「肯定も否定もできない」との見解を示したが、今回も同様の「灰色」報告になるとみられる。また、イラクの協力姿勢についても「不十分」との考えを示す見込みだ。
ブリクス委員長は今月十九、二十両日のバグダッド訪問後、イラクが査察対象施設への自由な立ち入りを認めていることを指摘する一方で、@査察支援のためのU2偵察機の使用を事実上拒否しているA当局者の立ち合いなしでの科学者の聴取を認めていないB廃棄したとされる炭疽(たんそ)菌やVX神経ガスについて、廃棄を示す証拠の提示がないC化学兵器用弾頭の申告漏れがあった――などを挙げ、強い不満を表明している。
仮に安保理がイラクの「重大な決議違反」を認めれば、武力行使への機運が一気に高まり、和戦の分岐点ともなり得る重大局面を迎える。
二十七日の報告は、昨年十一月八日に採択された安保理決議一四四一号が求めていたもので、同二十七日に四年ぶりとなる査察が始まって以来の初の公式報告。同決議はこの後の日程や手順に言及していないため、査察の延長など「報告後」をめぐり、すでに各国間で激しい駆け引きが行われている。
現時点では、イラクの非協力的な姿勢が目立つが、決議への重大違反を示す決定的な証拠を欠いていることから、主要国は一定期間の査察の延長も視野に入れている。
安保理は二十九日に非公式会合を開催し、報告について再度、協議を行う。