イラク科学者の国外聴取を―米が査察団に圧力
【ニューヨーク6日時事】六日付のニューヨーク・タイムズ紙は、米当局者らの話として、ブッシュ政権が国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長に対し、イラクの大量破壊兵器の開発計画に関与した主要な科学者を国外に連れ出し、政治亡命を交換条件に、大量破壊兵器の所在に関する情報を聞き出すよう圧力を掛けていると報じた。
同紙によると、ライス大統領補佐官(国家安全保障担当)が二日、ニューヨークでブリクス委員長と会談した際、イラクの科学者の聞き取り調査を国外で行うよう要請。こうした科学者に米政府が証人保護措置を取ることも提案したという。
米政権内ではさらに、国連査察団が科学者を割り出し、場合によっては強制的に、家族と一緒に国外へ連れ出した後、米当局が科学者を聞き取り調査し、亡命の手配を行うという案も検討されている。
これに対し、ブリクス委員長は「本人の意思に反して拉致することはできない」と反論。米国務省もこれを支持しているが、国防総省内では、国外での聞き取り調査が行えなければ、今回の査察は失敗するとの強硬意見まで出ており、協議がさらに続けられる見通し。
先に採択された国連安保理決議はイラクに対し、科学者や政府関係者に対する無条件の接触を要求。査察団は「自らの裁量で」イラク内外での聞き取りを行い、対象者や家族の国外移動を助ける権限を与えられている。しかし、ブリクス委員長は決議案の協議中から国外での調査に慎重姿勢を示していた。