米軍、スカッド・ミサイル発射実験で対イラク戦準備
【ロサンゼルス26日宮城武文】カリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地の米国防総省ミサイル防衛局当局者は二十五日、ミサイル防衛システムの能力向上を図るため、旧ソ連が開発したスカッド・ミサイルの発射実験を実施したと述べた。スカッドはイラク軍が保有するミサイルの主力だが、米国が計画するイラク軍事攻撃と実験との関連性などについては言及していない。
ミサイル防衛局当局者によると、スカッド・ミサイルは移動装置から発射され、最高約八万四千三百メートルの高度に到達、約二百九十八キロ飛行して太平洋上に落下した。この間の飛行データを記録、ミサイル防衛システム「パトリオット」の改良型に利用する。スカッド・ミサイルの発射実験は十一月だけで二回目となった。
一九九一年の湾岸戦争中、イラクは約九十発のスカッド・ミサイルを発射、うち四十三発はサウジアラビアに、イスラエルにも多数が撃ち込まれた。米議会の調査によると、イスラエルはパトリオットで迎撃したが、破壊したのは四発だけとされ、システム改善が緊急課題となっていた。
湾岸戦争ではイラク西部の十二の拠点から発射され、イスラエル情報当局は対イラク戦が始まった場合、再びこの拠点がスカッド・ミサイル発射拠点として使用されるかどうか監視を強めている。発射基地は湾岸戦争後、国連査察ですべて破壊されている。湾岸戦争後、イラクは長期にわたってスカッド・ミサイルを秘密裏に保存しているとみられ、北朝鮮の技術支援で改良も加えているとされている。一部情報では、イラクは現在四百発のスカッド・ミサイルを保有しているという。
ただ、イラク軍がスカッド・ミサイルを使用するかどうかは、フセイン政権が崩壊の危機にひんした場合にのみフセイン大統領の決断で実行すると、米情報機関は分析している。また、対イラク攻撃が始まれば、ただちに米軍は特殊部隊をイラク西部に送り込み、スカッド・ミサイルの対イスラエル発射を防止する計画も用意しているという。