イラク決議、全会一致で採択−国連安保理
査察団に強い権限―イラクの出方に注目
【ニューヨーク8日池本拓】国連安全保障理事会は八日午前十時十五分(日本時間九日午前零時十五分)から開催した公式会合で、イラクに対する大量破壊兵器査察を強化する決議を、全会一致で採択した。イラクに厳しい査察条件を突きつけた決議が全会一致で採択されたことで、同国に対する国際世論の風当たりは一層厳しくなると予想され、イラク側の今後の出方が注目される。
採決で棄権または反対票を投じるとみられていた非常任理事国シリアも賛成に回り、協議を主導した米国にとって大きな外交的勝利となった。
同決議はまず、イラクがこれまでの安保理決議について「重大な違反」を犯していると認定。今後七日以内の決議の受諾を求めた上で、三十日以内に同国が有する大量破壊兵器(生物・化学・核兵器、長距離ミサイル)の開発計画をすべて開示するよう要求している。
査察を実施する国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)と国際原子力機関(IAEA)には、@大統領宮殿を含む、あらゆる施設への無制限の立ち入りA科学者への、イラク当局者の立ち合いなしでの尋問(国外での尋問を含む)B国連の警護官の同伴C禁止兵器の廃棄や機器・記録の押収――などの強い権限が付与される。
査察団は、決議採択から四十五日以内に査察を再開、その後、六十日以内に安保理に報告書を提出する。
イラクの開示に虚偽や漏れがあった場合、あるいは査察妨害や義務違反があった場合には、UNMOVICのブリクス委員長とIAEAのエルバラダイ事務局長が安保理に報告する。イラクが決議に違反しているかどうかの最終判断は、二人の報告に基づいて、安保理が下す。これは、フランスやロシアが主張していた、査察と武力行使を明確に分離する「二段階方式」をほぼ受け入れたものだ。
今回の決議をイラクが受諾すれば、一九九八年十二月に「イラク側が査察に制限を加えている」として査察団が退去して以来、初の国連査察が実現することになる。