対イラク決議案討議が難航
数日間の交渉がヤマ場
【ニューヨーク29日時事】イラクの大量破壊兵器の国連査察体制を強化する安保理決議案の討議がこう着状態に陥っている。米英両国は、提出した決議案を早急に採決に持ち込みたい意向だが、常任理事国であるフランス、ロシア、中国の支持はおろか、採択に必要な賛成票も固められていない。妥結か決裂か、今後数日間の交渉がヤマ場となりそうだ。
「一九九九年の決議のようになれば苦しむことになる」――。国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長は二十八日、こう述べて安保理の結束を要請した。現行の査察制度を定めた九九年決議には、仏ロ中などが棄権。こうした安保理内の対立が制度の権威に傷を付け、イラク側に利用される原因にもなってきたためだ。
しかし、今回も同じ状況が再現されようとしている。イラクによる関連決議の違反を認定し、「重大な結果」を警告する米英決議案に、仏ロ中は「武力行使の引き金が隠されている」と反発。米英側も「警告の文言では譲らない」(米当局者)との立場を貫き、妥結のめどは立っていない。
決議案の採択には、常任理事国が拒否権を行使せず、九カ国以上が賛成することが条件。独自案を示すロシアとこれに賛同するシリアを除き、安保理は米英案と仏案で二分されている。仏ロ中が拒否権を行使する可能性は低いが、このまま支持が得られなければ、米英は採決を断念するか、否決を覚悟で採決に持ち込む可能性もある。
一方で、米英は決議が採択されなければ、「同盟国を率いてイラクを武装解除する」(ブッシュ米大統領)姿勢を示し、安保理メンバーに圧力を掛けており、反対派にとっても時間との戦いになっている。