実務合意で混迷深まる―安保理のイラク協議
新決議へ米が外交攻勢
【ニューヨーク1日時事】イラクの大量破壊兵器査察問題をめぐり、同国と国連が一日、ウィーンで実務面の調整事項について合意したことで、イラク側はひとまず、査察への協力の度合いを試す“一次関門”を通過した格好となった。しかし、米国は新たな安保理決議採択まで査察官を復帰させるべきではないとしており、決議案討議の見通しが立たない中、事態は混迷の度を深めている。
「(イラクが査察を拒否した)一九九八年末とは大きな違いがある」―。国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長は実務協議の終了後、イラク側の姿勢に肯定的な見方を示した。同委員長は三日に安保理で詳細を報告するが、安保理が新決議などのさらなる決定を行わない限り、今月中旬に先遣隊を派遣し、査察準備を進める方針だ。
しかし、パウエル米国務長官はこの直後、「現行決議の下で査察官を復帰させるべきではない」と明言。より厳しい要求を期限付きで突き付け、従わない場合は武力行使を容認する新決議案の合意成立を急ぐとともに、先遣隊の派遣阻止も辞さない構えを示した。
一方、米英はこの日、安保理常任理事国のフランス、ロシア、中国と非公式に協議を行い、決議案の文言をめぐり、水面下の根回しを本格化させている。
だが、武力行使容認の文言を含む決議案にフランスなどは反対の姿勢を崩していない。実務協議での合意成立も“追い打ち”となって、安保理での討議は難航しそうだ。
ただ、「仏ロ中とも、米国を敵に回して拒否権を行使するメリットは小さい」(国連外交筋)。このため、米英にとっては、フランスなど三カ国を最低でも棄権させ、決議採択に必要な理事国九カ国の賛成票を集められるかどうかが焦点。先遣隊が派遣される予定の中旬をめどに、激しい外交攻勢が予想される。