対イラク新決議めぐる協議本格化
国連舞台に駆け引き−米とイラク
【ニューヨーク29日時事】イラクの大量破壊兵器の査察問題で、米国が新たな決議案をまとめたことを受け、国連安保理での協議が本格化する見通しとなった。三十日には、現行決議に基づく査察のための国連とイラクの実務協議もウィーンで始まり、国連を舞台にした米国とイラクの駆け引きが正念場を迎える。
米英両国が準備した決議草案は、イラクのフセイン政権に対し、大統領宮殿を含むあらゆる場所への査察官の受け入れを迫り、七日以内に回答が得られなければ、武力行使を容認する内容。両国は、安保理常任理事国のフランス、ロシア、中国に提示し、外交工作を進めている。
しかし、フランスもロシアも、草案には否定的な立場。このまま提示されれば、安保理が紛糾するのは必至だ。
「各国とも新しい決議の採択自体には、それほど反対していない」と国連外交筋は話す。問題は武力行使容認の文言だが、仏提案の二段階方式など、より慎重な内容への修正に米国が応じるかどうかは不透明だ。パウエル国務長官は、国連を通じた国際協調路線を維持する代わりに、できる限り強力な決議を通すことで、政権内タカ派の同意を得たとも伝えられる。
一方、イラクでの査察活動を担当する国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長は、新決議が採択されない限り、現行決議に沿って作業を進める方針。三十日からの実務協議でイラク側が協力姿勢を維持すれば、十月半ばには先遣隊を派遣する。
イラク側は新決議採択の動きを阻むため、現行決議順守の姿勢を一層強くアピールするとみられる。米国にとっては、査察準備が進めば進むほど新決議の必然性について説得力を失いかねず、新決議への合意づくりは時間との戦いでもある。