安保理の協議難航も/イラク決議案で米ロ対立
【ニューヨーク18日時事】イラクが急きょ大量破壊兵器の査察の無条件受け入れの姿勢を示したことで、米国が採択を目指してきた新たな安保理決議をめぐる協議が混迷の様相を見せ始めた。ロシアなどがこの問題で、米国と鋭く対立しているためだ。
パウエル米国務長官は十六日の中東和平四者協議後の共同記者会見で、「(イラクの査察問題での)駆け引きを過去に見てきた」と強調。イラク問題では、戦争捕虜や少数民族の人権問題など査察以外の懸案があることを指摘し、あくまで新たな決議が必要と表明した。
しかし、会見に同席していたロシアのイワノフ外相は「主要問題は大量破壊兵器だ」として、速やかな査察実行こそが重要だと訴えた。さらに、「新たな決議は特に必要ない」と明言し、米国との立場の違いを際立たせた。アラブ諸国からも「合意履行に集中すべきだ」(エジプトのマーヘル外相)などと、米国をけん制する声が出ている。
国連外交筋によると、こうした中で十七日の安保理非公式会合では、査察の無条件受諾を表明したイラクの書簡に対する評価は一切協議されなかった。イラク側との実務協議に着手した国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長の報告を受けるまで、安保理の協議は進展しそうもない。
二段階方式の決議採択を提唱していたフランスが沈黙を守っているほか、親イラクの中国もロシアに同調する可能性があり、十二日のブッシュ大統領の国連総会演説で高まった米国への支持が、早くも揺らぎつつある。