「テロとの戦い」、予想外の苦戦―同時テロ1年
米、国際社会の支持得られず
【ワシントン9日時事】米国は十一日、同時テロから一年を迎える。ブッシュ大統領が宣言した「テロとの戦い」は、テロ首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏をかくまっていたアフガニスタンのイスラム根本主義政権タリバンの打倒は果たしたものの、同氏の行方は依然つかめておらず、アフガン情勢も安定しないなど予想外の苦戦を強いられている。「生きていようと死んでいようと(同氏を)必ず捕まえる」とテレビで宣言したブッシュ大統領は、国民にその約束を果たせないまま、フセイン・イラク政権転覆という新たな戦いに突入しようとしている。
ブッシュ大統領は十一日、教会で礼拝した後、テロの被害を受けた国防総省やニューヨークの世界貿易センター跡地を訪問。同日夜、テレビ演説を行い、「自由を守るために必要なテロとの戦い」を改めて国民に訴える。
この一年のテロとの戦いは、西側同盟諸国だけでなくイスラム諸国にも支持され、タリバン政権打倒に成功。今年一月にはアフガン復興問題を話し合う国際会議が東京で開かれたほか、六月に開かれた緊急ロヤ・ジルガ(国民大会議)でカルザイ政権が発足した。
しかし、カルザイ政権の基盤は安定せず、復興計画も予定通りには進んでいない。今月五日には、カルザイ大統領を狙った暗殺未遂事件と爆弾テロ事件が発生。テロ組織アルカイダも一定の勢力を保っている。
こうした状況にもかかわらず、ブッシュ政権は「テロとの戦い」の次の標的をイラクに絞り、武力攻撃に向けて着々と準備を推進。イラクの大量破壊兵器が同盟諸国に使用されたり、テロリストの手に渡る危険性を強調している。
しかし、対イラク武力行使には、アラブ諸国だけでなく、ロシア、中国も明確に反対を表明。ドイツが攻撃不参加の方針を示し、他の同盟諸国にも現段階で支持する声はほとんどない。「米国の判断基準を無理強いする『テロとの戦い』を支持することはできない」(在米外交筋)などと批判も強まっている。米国の対テロ戦第二段階の成否は予断を許さない。