デメロ国連事務総長特別代表ら20人死亡、100人負傷
イラク自爆テロ―ミキサー車で、爆薬230キロ使用か?
イスラム過激派組織アンサール・イスラムが関与?
【カイロ20日鈴木眞吉】AP通信など複数のメディアの報道を総合すると、十九日午後、イラクの首都バグダッドにある国連事務所で発生した爆弾テロでは、セルジオ・デメロ国連事務総長特別代表(55)ら少なくとも二十四人が死亡し、百人以上が負傷した。死者のうち国連職員は十七人に上り、国連を標的としたテロでは過去最悪のものとなった。
国連は、「爆発物を積んだトラックが国連事務所前で爆発した」とし、駐バグダッドの米政府当局者は二十日、約二百三十キロの爆薬(ヨルダン大使館テロで使用された爆薬の二倍)を積んだミキサー車を使用した単独自爆テロとの見方を明らかにした。ミキサー車は、同事務所周辺に作られた防護壁の外で爆発し、爆発地点はデメロ代表の事務所から約十五メートルの距離だったという。国連は市内にある三階建のカナル・ホテルを本部事務所として使用していた。
イラクの連合軍暫定当局(CPA)のブレーマー文民行政官は十九日、自爆テロは、デメロ氏が標的だった可能性があるとの見解を示した。
なお、米政府は、旧フセイン政権時代にイラク北部を拠点に活動し、国際テロ組織アルカイダと関係を持つとされるイスラム教過激派組織アンサール・イスラム(「イスラム支持者」の意)による犯行の可能性が高いと見ており、犯行グループの割り出しを急いでいる。今月七日に発生したヨルダン大使館爆破事件の犯行も同組織によるものとの見方が有力だ。犯行声明はどちらも出されていない。
米政府は当時のフセイン政権が背後で同組織を応援していたとの見方を強めている。また米政府は、シリアからイラク側にイスラム過激派などのテロリストが流入していたとも見ており、シリア政府にテロリストの越境を阻止するよう要求している。ブレーマー行政官は十九日、テロ犯がシリアから潜入した外国人の可能性もあるとの認識を示した。
なお、在イラク国連職員がヨルダンに退去するとの一部報道に対し、国連のサリム・ローン報道官はその報道を否定、ヨルダンに出国する職員は治療が必要な負傷者のみだと語り、国連が引き続きイラク復興支援を継続する考えを強調した。
現在、イラクに駐留する米兵は約十四万人とされるが、旧フセイン政権残存勢力やイスラム過激派外人部隊らによる米軍への攻撃が、親米国の大使館や石油パイプライン、水道施設などへ拡大しており、警備体制の限界が指摘されていた。カナル・ホテルの警備はかなり手薄だったとの指摘もある。
今回のテロ事件は、イラクの戦後復興に大きな痛手を与えるとともに、米国のイラク統治戦略にもかなり大きな打撃を与えそうだ。