米軍、バグダッド中心部を制圧
大統領宮殿からイラク兵多数逃走
【カイロ7日鈴木眞吉】イラクの首都バグダッドを包囲した米軍は、七日朝(日本時間同日午後)から、バグダッド中心部を攻撃し、フセイン・イラク大統領の執務室などがある「共和国宮殿」を含めた三つの大統領宮殿を制圧した。イラク戦開始後、十九日目にして米軍がバグダッド市中心部に達したことになる。AP通信は、米兵が大統領宮殿と情報省、アルラシド・ホテルを含むバグダッド市内の重要施設を占拠したと伝えたが、各省庁の建物は共和国防衛隊が依然、防御を固めているもようだ。チグリス川に架かる多くの橋もイラク軍部隊が押さえているという。
大統領宮殿を制圧した部隊は、米陸軍第三歩兵師団第二旅団などの部隊で、戦車六十五両、戦闘車四十台が作戦に参加した。バグダッド近郊の「バグダッド国際空港」付近から市南西部の市境を越え、バグダッド中心部に向かったもの。米軍は、大統領宮殿に、米ジョージア州の大学の旗を掲げた。宮殿からは、多数のイラク兵士が逃走するのが確認されたという。
一方、イラク側は、共和国防衛隊などが、市内の橋などを押さえ、ロケット弾などで応戦しているが、米軍の軍事的優位は動かないものと見られ、バグダッド制圧は時間の問題との観測もある。フセイン大統領の権力の象徴である大統領宮殿が、簡単にと米軍の手に落ちたことで、フセイン政権の終局は近いとの見方も出ている。
それに対し、イラクのサハフ情報相は七日、バグダッド市内で記者団に「バグダッドの防衛は強固で、米兵はいない」と述べ、米軍による首都中心部制圧の情報を否定、「何百人もの異教徒らが、バグダッドの門で自決している。バグダッドは安全で守られており、われわれは米軍を虐殺している」と豪語した。
陸軍第三歩兵師団当局者は「五日の攻撃は一時的な進撃にすぎなかったが、今回は本格的なものだ」と言明。ロイター通信によると、米中央軍報道官のフランク・ソープ大尉は、「(攻撃の)目的は拠点を奪うことではない。首都への装甲部隊による襲撃だ。目前には、激しい戦いが控えている」と語り、共和国防衛隊や特別共和国防衛隊の残存部隊との戦いが今後も続くとの認識を示すとともに、「最終目標はイラク政権に終止符を打つことだ」と語った。
イラク軍と米軍は七日午後、バグダッド中心部で砲火を交えており、戦闘地帯には住宅地域も含まれているという。ロイター通信の特派員は、「バグダッドは現在、戦闘地帯となっており、住宅地域のいたるところで、爆発音や振動が起こっている」と話した。
なお、イスラエル軍報道官は七日、米英軍によるイラク攻撃は最終段階に入ったとの認識を示し、イラク側からのミサイル攻撃を警戒して取っていた警戒態勢のレベルを、数日中に引き下げることになろうとの見解を表明した。