住民らの本音どこに?―イラク南部
反政府か反米英軍か
【クウェート市30日時事】米英軍がイラク南部で住民蜂起を後押ししているが、三十日までに大きな反政府の動きはみられない。独裁政権の恐怖政治に縛られているとの見方がある一方で、米英軍を「占領軍」とみて拒絶している向きもある。戦乱にほんろうされた住民の本音はどこにあるのか。
対クウェート国境の町サフワンで二十六日、クウェート赤新月社が配布した支援物資を手にした住民の一部は「サダム(フセイン大統領)」の名前を連呼した。サフワンは米英軍に完全に制圧されたが、拒絶の意思表示にも受け取れる。
これについて、クウェートのスワイデン元空軍司令官(58)は「顔を隠して物資を受け取る住民がいた。サダムを恐れている証拠」とみる。一九九○年のイラク軍によるクウェート侵攻で捕虜になったスワイデン氏は「サダムの恐怖は身をもって経験している」と強調した。
南部のバスラを包囲する米英軍は、「支配政党のバース党を壊滅させれば、住民は解放される」(英軍スポークスマン)との前提で作戦を遂行中だ。しかし、クウェートのイスラム教関係者は「家族や親せきがバース党にも兵士の中にもいる。住民感情をまるで分かっていない」と、英軍などの楽観的見通しを一蹴(いっしゅう)した。
クウェートの中央戦略研究所のファルジ所長(47)は「反政府、反米英軍ともに正しい。混乱し、飢えたイラクの住民は状況判断できる立場にない。彼らは様子を見守り、結果を待っている」との見方を示した。