補給ラインの確保焦点に―米軍
前線兵士、食糧不足に
【ドーハ29日時事】世界で最も洗練された補給システムを持つ米軍が対イラク戦で補給ラインの確保に苦慮している。首都バグダッドの南方約八十キロに迫った米陸軍第三歩兵師団への補給ラインは、クウェート国境から五百キロを超える。補給の要衝ナシリヤ、サマワなどではイラク軍や民兵の執拗(しつよう)な攻撃に遭い、前線兵士の食糧や飲み水が不足する事態に直面している。
米軍はCH46型輸送ヘリコプター(最大積載能力二・二トン)を投入、陸上輸送を補完していたが、二十七日までの砂嵐の影響で空輸が減少。前線兵士は一時的に一日二食にしたり、河川の水をフィルターで浄化したりしてしのいだ。
問題は戦車などへの燃料の確保。イラク内での米軍の燃料用ガソリンの必要量は一日約五万六千八百キロリットルに上り、タンクローリーでピストン輸送される。米軍は補給ラインの確保のため、陸軍第四歩兵師団などを投入する方針だ。
カタールに駐留する米中央軍の前線司令部によれば、米軍の補給システムはコンピューターで管理され、前線で弾薬や食糧、燃料、部品などの使用量を入力すると、後方支援部隊に自動発注され、必要な分が適時に届けられる。「余分な補給物資を抱えない分、部隊の迅速な前進が可能になる」(米軍広報官)という。
だが、ナシリヤ近郊では補給部隊兵士五人がイラクの捕虜になり、伸びきった補給ラインの弱点をさらけだした。ウォレス第五軍団司令官は、米紙ワシントン・ポストに対し、「われわれが戦っている敵は、図上演習とは異なっていた」と語り、敵を過小評価していたことを認めた。同司令官はイラク側が補給ラインを攻撃する巧妙なゲリラ戦を展開していることから、戦争は長引きそうだと指摘している。