大規模蜂起は「五分五分」―シーア派筋
バスラ住民、報復脳裏離れず
【カイロ26日時事】イスラム教シーア派住民の多いイラク南部の要衝バスラで、米英軍による攻撃開始後初めて住民蜂起が伝えられた。しかし現地に特派員を置くアラブの複数の報道機関はこれを否定、状況は不透明だ。フセイン政権側の民兵組織の頑強な抵抗が続いており、シーア派反体制派筋は大規模蜂起の可能性を「五分五分」とみている。
カタールの衛星テレビ局アルジャジーラは二十六日未明、バスラにいる特派員の報告として、二十五日深夜に数発の砲撃音が聞こえた以外、市内は平静を保っていると報じた。ただ、飲料水が底を突き、住民のいら立ちは高まっているもようだ。
シーア派住民は、北部のクルド人とともにフセイン政権の弾圧対象に挙げられ、反フセイン感情は極めて強い。一九九一年の湾岸戦争直後、イラク全土でフセイン政権打倒を叫ぶ大規模な暴動が発生したが、その発火点はバスラだった。
当時、暴動はナシリヤやナジャフ、カルバラなどシーア派が多数を占める南部各地に拡大したが、米国はイランにつながるシーア派の影響力拡大を恐れて暴動を放置、フセイン政権による住民へのせい惨な報復を招いた。
ロンドンのシーア派反体制派筋は「住民の脳裏には米国の裏切りと報復の恐怖が焼き付いている。蜂起するのは容易ではない」と語る。
フセイン政権は九一年の暴動の際、武装ヘリコプターから群衆に油をまき、火炎砲で焼くなど残酷な報復措置を取った。死者は数万人に上ったといわれる。同筋は「南部の住民は悪魔と手を結んでもフセインを追い出したいと考えているが、政権の命脈が尽きたことが明確にならなければ、報復への本能的な恐怖から、二の足を踏むかもしれない」としている。