イラク北部進駐めぐり孤立感―トルコ
クルド反発、派兵の範囲焦点に
【アンカラ24日時事】トルコのエルドアン首相は二十三日、イラク北部にトルコ軍部隊を進駐させる方針を明確に打ち出したが、地元クルド人勢力との衝突など地域情勢の不安定化を招くとして国際社会の反発は必至だ。米国の理解も得られておらず、トルコの孤立感が深まっている。
「この地域(イラク北部)でのトルコ軍の存在は、トルコだけでなく地域の安全保障に寄与する」―。二十三日のエルドアン首相のテレビ演説は、「トルコが部隊をイラク北部に送らないよう望んでいる」とブッシュ米大統領が語ったわずか三十分後。アンカラの外交筋は「トルコと米国の見解は正反対で、両国関係の悪化を象徴する」と指摘した。
トルコ紙ヒュリエトによれば、米国はトルコ軍の進駐範囲を国境から十五―二十キロにとどめるよう要求。しかしトルコは、難民保護のほか、イラク北部のクルド人が独立機運を強め、自国のクルド分離独立問題に飛び火するのを警戒し、国境から二百キロ以上離れたキルクークなどへ派兵する計画だ。同筋は「二十キロでは何もできない」と強調する。
しかし、トルコの部隊進駐への逆風は強まるばかり。ドイツがトルコからの部隊引き揚げを示唆したほか、ベルギーも、トルコの宿願である欧州連合(EU)加盟は「考えられなくなる」と警告した。
トルコはイラク攻撃を行う米軍のトルコ駐留を拒否し、領空使用だけを認めた。米側は「領空使用は北大西洋条約機構(NATO)の枠組みでは当然の協力」(外交筋)との認識を持っているとみられ、同盟国である米国の信頼を失ったトルコは、当初の進駐計画を変更せざるを得ない状況に追い込まれている。