イラク、臨戦態勢へ/査察への協力は維持か
【カイロ8日時事】イラクは十七日までの武装解除を求める事実上の「最後通告」を突き付けられた。フセイン政権はこの数日、予備役の招集や精鋭部隊の再配置など、臨戦態勢の構築を急いでいるもようだが、八日も「実質的な武装解除」である弾道ミサイルの廃棄を続けた。安全保障専門家は「査察への協力は最後まで維持し、開戦に至っても『理由のない戦争』を印象付けるのがイラクの戦略」と述べた。
イラクからはここ数日、地方駐屯の精鋭部隊が首都バグダッドの周辺に移動したとの情報が断片的に伝えられている。また、ロンドン発行の八日付アラビア語紙アルクッズアルアラビは、イラク紙の報道として、イラク政府が約六十五万人といわれる予備役の一部に、新たに招集を命じたと報じている。戦争に備えた態勢作りは水面下で着々と進んでいるようだ。
一方、イラクは八日、短距離弾道ミサイル「アッサムード2」六基の廃棄に新たに着手。国連査察団は同日、全土で十一施設に立ち入ったが、イラク側の妨害は伝えられていない。
イラクの気温は日々上昇しており、クウェート国境に近いバスラでは週明けに三十度近くに達すると予測されている。戦闘を困難にする砂嵐の季節も間近だ。カイロのアラブ外交筋は「イラクはもはや外交解決が可能だとは思っていない」と指摘する。しかし、国連安保理では米英両国と査察継続を求めるロシアやフランスとの対立が一層鮮明になっている。イラクは開戦をできるだけ遅らせた上で、国際世論を分断したまま、首都攻防を軸にした持久戦に持ち込むシナリオを描いているようだ。