イラク査察、科学者の事情聴取がカギ
気になる、ブリクス委員長の消極姿勢
【カイロ16日鈴木眞吉】イラクが今月八日国連に提出した大量破壊兵器開発と保持に関する申告書の内容が次第に明らかにされるにつれ、イラクが同兵器の所有と開発を完全に隠匿しようとしている意図が明らかにされ始めた。こうなると大量破壊兵器開発に関与した科学者への事情聴取の行方が注目されてくる。なぜなら、一九九八年までの査察では、査察活動の突破口を開いたのは亡命した軍や政権の幹部らの証言だったからだ。米国は査察の初期段階から科学者のイラク国外での聴取を主張してきたが、ブリクス国連監視検証査察委員長の消極姿勢が原因で今日まで引き伸ばされてきたようだ。
しかし国連査察団の植木報道官は十四日、ブリクス委員長が、アルサアディ・イラク大統領顧問に書簡を送り、今月中に、核、生物、化学兵器や長距離ミサイルの開発に携わった研究者や技術者のリストを国連側に提出するよう要請したことを明らかにした。イラク側ではアミン兵器査察局長が既に十二日、リストを作成し提出できる態勢にあることを表明して協力する姿勢を示してはいるが、提出名簿自体が完全なものであるかどうかは疑わしく、米国が独自にそのリストを作成中という。
米中央情報局(CIA)は、イラクから提出された申告書を「過去の信用できない報告書を焼きなおしただけのもの」との初期評価を下し、過去の国連査察団が「不十分かつ不適切」と判断した報告書のコピーとの見解を示して、多くの申告漏れを指摘している。例えばアフリカから輸入していたとされる、相当量のウランやマスタード・ガスを搭載した砲弾五百五十発、生物兵器を積んだ爆弾百五十発などだ。英国でも、十六日付英紙が、「記述漏れが多くあり、失望する内容だ」と語る政府高官の見解を掲載、「フセイン大統領が攻撃回避の重要な機会を逸したとの見方を示した。
フセイン・イラク大統領は、科学者の国外聴取に最も懸念を抱いているとされているが、イラク政府としては隠匿する以外に道が残されてはおらず、それを暴く科学者国外聴取が最重要事項として浮上してきた。