プリクス査察委員長の手腕に疑問も
米で「弱腰」批判
【ニューヨーク27日時事】イラクの大量破壊兵器の査察が二十七日から始まったが、フセイン政権の打倒を目指し、国連にイラクへの強硬姿勢を求める米国では、生物・化学兵器などの査察を担う国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長の手腕を疑問視する声が上がっている。
米研究機関「核兵器管理ウィスコンシン計画」のゲーリー・ミルホリン理事は、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に「臆病(おくびょう)者のハンス(ブリクス委員長)」と題した評論を寄稿。ブリクス氏が国際原子力機関(IAEA)事務局長だった一九九○年、イラクの査察への協力を「模範的」と評し、査察中の施設でひそかに続けられた核開発疑惑を見逃したずさんさを指摘した。
同理事は、ブリクス氏が「米国防総省の望み通り、サダム(フセイン大統領)がうそつきで非協力的だと言えば、世界に戦争の引導を渡す最初の国連官僚という役回りを負わされる」のを避けるため、「カニのように」逃げの姿勢を見せているとやゆした。
国防総省の諮問機関、国防政策委員会のリチャード・パール委員長(元国防次官補)も英紙とのインタビューで、ブリクス委員長は「不適任」と述べ、その能力に疑問を呈している。
UNMOVIC創設の際、国連安保理は委員長の人選で対立した経緯がある。UNMOVICの前身である国連大量破壊兵器廃棄特別委員会(UNSCOM)の初代委員長を務めたエケウス氏ら対イラク強硬派の起用を求めた米国に対し、フランス、ロシアが反発。ようやく選出されたブリクス氏は候補者リストの二十四番目だったとも伝えられる。このため、今後の査察過程で、同氏の指揮ぶりに米国が不満を抱く可能性もある。