イラク攻撃想定、対策急ぐ―イスラエル
ガスマスクやシェルター修理
【エルサレム1日時事】米国によるイラク攻撃が現実味を帯びる中、イスラエルはイラクのミサイル攻撃を想定した対応策を急ピッチで進めている。市民も生物化学兵器による攻撃という万一の事態に備え、ガスマスクの交換に走り、使われていないシェルターの修理などに追われている。
一九九一年の湾岸戦争でイラクは、アラブ諸国の支持獲得やパレスチナ紛争との関連付けを狙い、イスラエルに約四十発のスカッド・ミサイルを撃ち込んだ。このときは弾頭に生物化学兵器は搭載されておらず、イスラエルも反撃を自制した。
エルサレムにあるショッピングセンターの軍ガスマスク配布・交換所には連日、市民がマスク交換や新規配布を受けるために訪れている。マスクは効果を発揮するのに約二年ごとの交換が必要で、子供の成長に応じたサイズ更新も求められる。
マスクを受け取った教師ルーティ・ハイムさん(32)は「イラク攻撃があれば、フセイン(イラク大統領)は生物兵器でイスラエルを攻撃してくる。完ぺきではないが、マスクは命を救ってくれるだろう」と語った。首相府勤務のヨシ・コーヘンさん(55)は「イラクが生物化学兵器で攻撃してくるなら、核兵器で反撃することを支持する」と強調した。
一九四八年の建国以来、幾多の戦争を経験したイスラエルには、シェルターを備える家庭も多い。ただ、九一年の湾岸戦争以来使われず、物置に転用されていたり、空調設備が壊れていたりするものも多く、市民は対応を急いでいる。
一方、保健省は救急隊員や病院職員約一万五千人への天然痘ワクチンの接種を開始。軍は、南部のネゲブ砂漠にある核研究施設周辺などに米国製地対空ミサイル「パトリオット」を配備、ビルへのミサイル着弾を想定した救助訓練も行った。
ベンエリエザー国防相は、早ければ十月にも米国のイラク攻撃があると指摘。「イスラエルは(イラクの)主要な標的となり得る。もし攻撃されれば、反撃の権利がある」と語っている。