フセイン後のイラク民主政権誕生を恐れるサウジ
アラブ日刊紙「アル・ハヤト」のアミール記者、語る
【ウィーン23日小川敏】対イラク戦争をめぐりブッシュ米政権とサウジアラビア両国の間で、ここにきて不協和音が表面化しているが、ロンドン発行のアラブ語日刊紙「アル・ハヤト」記者のリヤド・アル・アミール氏は本紙とのインタビューの中で、「サウジが恐れているのはフセイン政権後のイラク民主政権の誕生だ」と指摘した。
同氏によると、一九九一年の湾岸戦争で当時のブッシュ米政権が崩壊寸前のフセイン政権の延命を許した主因は、サウジ側の強い要望によるという。サウジ支配層はイラクで民主政権が打倒され、多民族が参加するイラク民主政権が発足した場合、その波紋がスンニ派が支配する国内に波及、非スンニ派に動揺が生じることを非常に恐れている。今回も同様だという。
イラクには、アラブ人のほか,クルド人、トルクメン系、ペルシャ系など多数の民族が共存、宗派では主流派のスンニ派のほか、シーア派が多数を占めている。米国務省は先日、「フセイン崩壊後は、イラクの全ての民族が参加した民主政権の発足を目指す」と表明したばかり。
アミ−ル氏は「原油生産地域のサウジ東部には非スンニ派が住んでいる。イラクで民主政権が誕生した場合、『われわれにも同様の権利を与えよ』といった暴動が起きる危険性がある。富を独占するサウジ支配層はそれを恐れている。独裁政権のフセイン政権の崩壊は民主化が遅れているアラブ諸国に影響を与えることは必至だが、特に、戒律が厳しいスンニ派のワハブ派が支配しているサウジには大きな動揺が起きることが予想される」と語った。