攻撃回避外交、手詰まりに―イラク
アラブも最後は対米協力か
【カイロ9日時事】米軍によるイラク攻撃の観測が強まる中、攻撃回避に向けたイラク外交が手詰まり状態に陥っている。大量破壊兵器査察をめぐる国連との対話は進展せず、外交工作は米国のフセイン政権打倒キャンペーンの後手に回り始めた。国際世論は依然、慎重論が大勢。だが、米国がひとたび決断すれば、「攻撃反対一色のアラブ諸国も“勝ち馬に乗れ”の原則に従わざるを得ない」(イラク問題専門家)との見方が出ている。
作戦計画案を伝える米英紙の報道合戦は異様なまでに過熱している。カイロの軍事専門家は一連の報道について、意図的なリークであり、@米政府によるイラクかく乱のための心理作戦A米国内慎重派や欧州、アラブ諸国を軍事攻撃容認に誘導するためのキャンペーン―とみる。
これに対し、イラクは有効な対抗措置を打ち出せないでいる。同国は五日、国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長を査察問題協議のためバグダッドに招請。しかし、その際に再び査察に条件を付けたことで、対話引き延ばしの意図をさらけ出してしまった。
また、米議会公聴会で軍事攻撃慎重論が出たと聞くや、米議員団を大量破壊兵器疑惑の検証のためにバグダッドに招くなど、実現可能性の薄い場当たり的な対応も目立つ。
フセイン大統領は八日の演説で、米国との対決の意思を改めて示す一方、米国は「アラブ・イスラム世界全体」を標的にしていると強調した。アラブ民衆の同情は集まるだろう。しかし、アラブ諸国政府が対米協力を最後まで拒否し続けられるかどうかは微妙との見方がある。
アルアハラム政治戦略研究所(カイロ)のガマル・スルタン研究員は「アラブ各国は、政権崩壊後のイラクの再建で自国の利益を最大限反映させようとするだろうが、それには米国に協力したという実績が要る」と指摘。「兵たんや負傷米兵への医療支援、領空通過の容認など、目立たない形で対米協力を試みるのではないか」と語った。