SARS疑似感染者に至近距離取材−中国広州
香港記者らマスクすら装着せず
【香港9日深川耕治】中国広東省広州市で新たに新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)感染の疑いがあると確認された女性店員(20)が、八日、広州市第八人民病院に搬送転院された直後、香港メディアの記者団を含む約五十人の取材陣から至近距離で撮影取材を求められ、取材陣の中にはマスクすら装着せずに無防備な取材を続けていたことが明らかになった。
広州のSARS感染男性(32)への取材で香港のテレビ局取材スタッフ三人が同男性の入院している広州市第八人民病院やハクビシンなど野生動物を売買する「野味」市場での取材後、発熱やせきの症状で香港内の病院で入院して大騒ぎになったにもかかわらず、最低限の感染防止よりも行き過ぎた取材手法を優先する香港メディアのあり方に香港へのSARS流入の懸念が高まっている。
SARS感染の疑いがある女性は、八日、隔離治療を受けていた広州市内の越秀区第一人民病院から広州市第八人民病院へ搬送転院され、待ちかまえる中国内外の記者団約五十人を前に感染防止用の医療服に身を包んだ医療スタッフと共にマスク装着姿で搬送車から下車して現れた。
香港紙「りんご日報」(九日付)の現地報道によると、「SARS感染の疑いがある二番目の女性患者が送院されてきたぞ」という声と共に救急車一台が病院内に入り、記者団は百bほど救急車を追いかけて止まった。同女性患者はマスクを装着しているだけの状態で現れ、記者団は数bの至近距離で同女性を取り囲み、カメラ撮影などを行った。
女性と同行した医療スタッフらは記者団に「彼女がSARS患者であるのを分かっているのか」と大声で叫んだが、取材陣の中にはマスクすら装着せず、一b以内の超至近距離まで接した記者やカメラマンもいた。