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隠ぺい告発の医師が表紙に−北京週刊誌

北京のSARS患者隠しあぶり出す

官営メディアは無視、今は「英雄」扱い

 【香港4日深川耕治】北京の生活週刊誌「三聯生活周刊」(発行元=生活読者新知三聯)最新号は北京市内の軍関係病院で「患者隠し」があったことを内部告発した解放軍三〇一病院の蒋彦永医師(72)を表紙に大きな顔写真付きで載せた。告発過程を大々的にカバーストーリーとして掲載、大学時代の同級生が「人民にとって功臣といえる」と讃辞を送っている。

 国内メディアで蒋医師の告発行為について正式に公開するのは同誌が初めて。

 同誌によると、蒋医師は三月末の時点で、解放軍三〇九病院にSARS患者が六十人入院して六人が死亡、三〇二病院でも四十人が入院している事実を確認していた。

 だが、四月三日、当時の張文康衛生相が三月末時点での北京のSARS患者数を十二人、死者数を三人と過少発表したことに憤慨し、同四日、人民解放軍後勤部と衛生省の責任者に抗議した。

 四月四日、同様の抗議内容を中国中央テレビ(CCTV4)や香港の中国系衛生テレビ局・鳳凰衛視台の二局に書簡を送ったが無視され、同月八日、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルと米週刊誌タイムの記者による取材を受けて告発内容が外国メディアを通して初めて露呈した。三聯生活周刊の記事はこの経緯を説明してたもの。

 衛生省当局者が、北京訪問中の四月六日にSARSで死亡した国際労働機関(ILO)技能開発局のペッカ・アロ局長について、感染ルートを詳細に調査中と説明したことに対し、同十日、北京協和病院に勤務する教授が蒋医師に「実際はどこから感染したかも不明のままだ」との実態を告発、蒋医師は衛生省の不手際が致命的段階にあると認識した。同十一日、蒋医師は衛生相に辞任を勧告するよう病院側に申し入れたという。

 今回、蒋医師の告発経過をこれだけ詳細に紹介したのは国内メディアで初めてだが、先月中旬から蒋医師をSARS闘争の英雄のように官営メディアでも取り扱い始め、党女性組織・全国婦女連合会の機関紙「中国婦女報」(五月二十三日付)でもSARS闘争の英雄の一人として蒋医師を写真付きで掲載していた。

 国内メディアが一転して蒋医師を英雄扱いし、北京の「患者隠し」の実態を詳細に紹介した背景には、中国政府が海外からの評価が高まった蒋医師の英断を受け入れ、胡錦濤政権が情報公開に積極的であることを内外に示し、過少報告再来を防止する意図が見え隠れする。

 だが、香港紙「星島日報」(五月三十一日付)によると、蒋医師は六月七日からサンフランシスコに在住する実娘に会う目的で訪米申請をしていたが、「軍人」の身分では国家機密上、訪米は許可できないとの「不許可」回答が当局から五月末、突き返された。蒋医師はすでに軍医の身分を引退した立場だが、訪米不許可の理由に「軍の国家機密」を持ち出す中国政府の秘密主義体質は根底からは改善されそうもない。

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