北京の日本人に帰国勧告―外務省
中国全土に危険情報
新型肺炎拡大で異例の措置
【北京29日時事】中国での新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)拡大を受け、外務省は二十九日、北京在住の日本人に対し、「帰国の可能性も含め検討する」よう勧告した。中国全土には渡航への注意を呼び掛ける危険情報を出した。また、北京の日本大使館も二十八日夜、北京在住の日本人留学生に帰国勧告を出しており、北京からの帰国者が今後急増するのは必至だ。
北京にこれだけ大規模な帰国勧告が出たのは、一九八九年の天安門事件時以来で、異例の措置と言える。
日本大使館によると、外務省は二十九日、感染の拡大と長期化のほか、日本人も隔離される事態が予想されることから「一時的に北京を離れることが可能な日本人は帰国の可能性も含めて検討することを勧めます」との通知を出した。
同省はさらに、中国全土への渡航について「十分注意してください」とする危険情報を発表。北京市、山西省、広東省、香港には既に、危険情報として一レベル高い渡航延期勧告が出ている。
一方、日本大使館は留学生に対し、「勉学、研究の必要上、残留の必要がある場合を除き、帰国することが望ましく、検討してほしい」と勧告した。
北京には留学生約三千人を含めて約七千人の日本人が滞在。このうち、留学生は既に約三百人帰国し、在留邦人全体でも約七百人が帰国した。留学生約四百人も現在、帰国の準備を進めている。北京の清華大学や中国人民大学などの留学生は、厳しい外出制限を受けており、留学生活に不便が生じているという。
また、北京駐在の日本企業の間でも、駐在員に帰国を指示する企業も一部で出ているほか、日本人学校の休校が決定した二十三日以降、多くの家族が相次ぎ帰国している。