SARSで権力構造に変化―中国
胡、温氏が前面、登場減る江氏
【北京24日時事】新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の感染拡大に伴い、三月に発足したばかりの中国指導部の権力構造にも微妙な変化が出てきた。国家の一大事だけに胡錦濤国家主席と温家宝首相が前面に出ているが、この背景には二人への国民の支持の大きさがある。一方、江沢民中央軍事委員会主席の露出は最近では激減しており、江氏派指導者も全く目立たない。
外交筋は「江氏は危機の際、目立つとマイナスとなると思っているのでは」と指摘。別の消息筋からは「SARSを機に、(江氏の)影響力が減る可能性もある」との見方も出ている。
胡、温両氏とも、広東省や北京の医療関係者と意見交換するなど早くから前面に立ち、陣頭指揮を執っている。外交・通商担当の呉儀副首相(女性)が「対策本部」の最高責任者を務めるなど異例の体制も組んだ。
北朝鮮ナンバー3の趙明禄国防委第一副委員長が二十三日まで訪中していたが、本来なら江氏が会談相手となってもしかるべき相手。しかし、江氏と会談したとの報道はなく、胡氏が登場した。
国営通信・新華社(電子版)の幹部動向によれば、江氏が最後に公に出たのは八日のベトナム共産党のノン・ドク・マイン書記長との会談。側近の曽慶紅国家副主席は十四日の貴州省視察だった。また、江氏派のうち、黄菊氏は筆頭副首相にもかかわらず、SARS対策では登場していない。情報開示が問題となる中、宣伝担当の李長春政治局常務委員も存在感がない。
北京市のSARS問題では、江氏に近い張文康衛生相とともに、胡氏と同じ共産主義青年団(共青団)出身の孟学農北京市長が更迭されたが、中国筋は「孟氏は必ずしも胡氏に近いわけではない」としており、更迭劇の裏側は謎のままだ。